- 書名:『プレイヤー・ピアノ』
- 著者:カート・ヴォネガット・ジュニア
- ISBN: 978-4150115012
- 刊行日:2005年1月
- 発行:ハヤカワ文庫SF
- ページ数:603
- 形態:文庫
社会のシステムが高度に機械化され、人間の労働は機械に取って代わられ、職を失った人々(下層民)と機械の整備をする人々(エリート)が生まれてきたという設定のSFである。
主人公は機械を整備するエリート、だが彼は高度にシステム化された制度(機械が人間を奴隷のように扱う事、仕事の無い下層民と機械の管理者達との二分化された格差社会)に疑問を持ち始める。
彼はある事件をきっかけに機械の支配を打ち破る目的を持った革命組織に入るのだが、そこで見たものも結局現体制とあまり変わらない組織管理制度だった・・・
支配制度も革命組織も、やってることは結局同じなんではないか?
革命が起きてもまた同じような体制が出来上がって、人々が同じように苦しむのではないか?
という暗いあきらめみたいなものがジョージ・オーウェルの書いた『1984年』と『動物農場』によく似た作品であった。
翻訳がいただけないなという部分もあるのだが、非常に退屈なお話であった。読んでいて切迫感というものを全く感じなかった。
カート・ヴォネガット・ジュニアという名前を本屋で見つけて、「前に読んてよくわからなかったけど、もしかしたらスゴイ面白い作品だったのではないか?」と感じた『故郷から10000光年』という作品の作者だと思い、『プレイヤー・ピアノ』を買ってみた。
だが、今日本屋でSFコーナーを見ていたら『故郷から10000光年』はジェイムズ・ティプトリー・ジュニアの作品であった。
カート・ヴォネガット・ジュニアとジェイムズ・ティプトリー・ジュニア、名前が長いのと後ろにジュニアがつくのが似ていたので私は勘違いをしていたのである。
さらにカート・ヴォネガット・ジュニアは前に読んで、こりゃだめだと思った『タイタンの妖女』の作者だったのであった・・・
ジュニアちがいの上に、前に読んでもう読むまいと思っていた作家の本を買って読んでしまったとは・・・随分マヌケな話であった。