- 書名:『増補 靖国史観 日本思想を読みなおす』
- 著者:小島毅
- ISBN: 978-4480096272
- 刊行日:2014年7月10日
- 価格:1,000円(税別)
- 発行:ちくま学芸文庫
- ページ数:154
- 形態:文庫
明治維新という言葉が何故明治「革命」ではなく、明治「維新」なのか?ということと靖国神社の成立を絡めて説明したのが本書。
明治維新の後に西洋化が進み、それにより日本の近代化がなされてみんな幸せになったという学校教育を私は受けたしそういう印象を持っていたが、そうではなく明治維新では朱子学的(儒教的)な王政復古(革命じゃなくて)がなされたというのだ。
そして明治維新で命を落とした英雄たちを祀っているのが靖国神社であり、その「英雄」たちは江戸時代の考え方からすると革命を企んでいたテロリストであるのだそうだ。
靖国神社は勝った官軍(つまり元テロリスト)だけを祀り、それに負けた賊軍(元政府軍か)は祀っていない、だから靖国神社に参拝してテロとの戦いを標榜する昨今の首相の姿は片腹痛いということなのだ。
まあ、確かに。
靖国神社は太平洋戦争で戦死した兵士たち(A級戦犯もふくめ)を祀っている敗戦国としてのお墓みたいなイメージを持っていたが、そうではなく明治維新の官軍(結果的に勝った人たち)を祀った戦勝国の神社なのだというお話は私には驚きであった。
明治維新の後に日清戦争、日露戦争、そして日中戦争と太平洋戦争に至り日本は戦争に負けることになるのだが、その流れの一旦を担ったというかその流れを作ったのが靖国神社に英雄たちを祀った人たち(生き残った官軍でありテロリストたち)であるのだろう。
だから中国や韓国が、日本の首相が靖国神社に参拝すると怒るのもわかる。(※本書の主張は少し違うが)
靖国を成立させた原因とか、その周辺の事情わかってるの?中国とか韓国が占領されたり占領されそうになったんだよ、知ってるのそのこと、安倍さんよ?とも言いたくなるだろう。
また中国や韓国を侵略するつもりがあるんじゃないの?みたいに考えるのもしょうがない。
で、歴史認識であーだこーだ言って色々国同士がこんがらがってそこに住む人たちが迷惑するから、今日からは何があってもとにかくみんなが仲良くするってのはどうだろう、簡単じゃない?