- 書名:『信長燃ゆ(上・下)』
- 著者:安部龍太郎
- ISBN:978-4101305165、978-4101305172、
- 刊行日:2004年10月1日
- 価格:710円、790円(税別)
- 発行:新潮文庫
- ページ数:481、564
- 形態:文庫
安保法案というものが衆院を通過した。
世の中は戦争になるという雰囲気ができてきて、さらに太平洋戦争に日本が突入したときに今の空気が似ているだとか言う人たちもいる。
集団的自衛権が行使できるのであれば、戦争ができると言うことになり、じゃあ戦争しよう、そして徴兵制だということになるのだろうか。
ある意味当たっていると思う。
でも、なんか違和感なのだ。
本書は、天皇制を乗り越えようと画策する織田信長の野望を天皇側(天皇を傀儡とした朝廷側と言った方がいいか)の近衛前久が潰す(本能寺の変)という話である。
天皇を傀儡とする朝廷が日本の全てを決めていたらスペインやポルトガルに攻め込まれてしまうのでは?と憂慮する織田信長は天皇制を超える(潰す)事を考えるのだが、それを察知した朝廷側がそれを先に潰すのである。
信長が本能寺で殺されちゃったのはスペインとかポルトガルの脅威を自分の頭の中だけで解決しようとしたからなのだろうか。ねえどうする?スペインとかポルトガルの植民地になっちゃうかもよ?って信長が大声で言っていれば少しだけ歴史は変わっていたかもしれない。それがいい方向にかはまったくわからないけど。
信長が倒れた後、その家臣であった秀吉が文禄・慶長の役という太平洋戦争に非常に酷似したムダな戦争を行い、そのさらに家臣であった家康が鎖国政策という外国と大規模な戦争をしにくい体制を作り上げた。
今の状態が文禄・慶長の役の前の状態であるとすれば非常に恐ろしいが、実際にどうなるかはわからない。
憲法だとか天皇だとかがどうだということじゃなくて、戦争が起こって、それによって殺されたくもないし殺したくもない。
そのために色々考えるべき時に来ていると思うのだ。
憲法とか安保法案とか言っている場合ではない、まず脅威があるのか、そこに、あるのか?ほんとうに。
憲法をどう解釈するかとか天皇がどうだとかで右と左で言い合っている場合ではない、そうじゃなくてみんな平和に暮らしてくにはどうするのがいいのか、どういう憲法がいいのかを話し合わないかい。
ねえ。