早稲田の男おいどん『ワセダ三畳青春記』

アパート

  • 書名:『ワセダ三畳青春記』
  • 著者:高野秀行
  • ISBN:978-4087476323
  • 刊行日:2003年10月
  • 発行:集英社文庫
  • ページ数:293
  • 形態:文庫

辺境冒険家の高野秀行の作品だが、今回は彼は冒険には出かけない、本作は高野秀行が早稲田大学の学生時代に住んでいた下宿のお話である。

早稲田大学のすぐ近くにある野々村荘の3畳間に偶然入居する事になった高野秀行は、そこで下宿のおばちゃんと住人達との貧乏だけども幸せで波乱に満ちた(?)下宿生活をスタートさせる。

松本零士作の『男おいどん』という傑作下宿生活マンガがあるのだが、本作品はそれのまさに80~90年代版といったおもむきがある(ちなみに『男おいどん』が生活する部屋は4畳半であり、高野秀行の部屋よりも1畳半広い)。

高野秀行の下宿生活の詳細はあえてここでは書かない、のらりくらりとした文章がうまいので読み始めればすぐに高野&野々村荘ワールドにとり込まれること請け合いである。

実は高野秀行の作品は辺境冒険モノよりも、街で暮らしている日常モノの方が外れが少ない、筆者の得意の冒険モノではないのに出版されているという事実がそれを物語っている。

野々村荘が気になったので調べてみたが、どうやら本当は違う名前のよう、まだ早稲田にあるのだろうか。