ナンパな文章で特攻隊の話をまとめた大傑作『KAMIKAZE神風』

零式戦闘機

  • 書名:『KAMIKAZE神風』
  • 著者:石丸元章
  • ISBN: 978-4167137083
  • 刊行日:2004年8月4日
  • 発行:文春文庫
  • ページ数:334
  • 形態:文庫

私のお気に入りの作家・高野秀行が「本の雑誌」誌上でオススメしていたのが今回紹介する『KAMIKAZE神風』。

謎の老人からの依頼をきっかけに石丸元章の元神風特攻隊員に対する取材が始まる。

巨大な助手キム、運転手でゲイのDボブ、成り行きで付いて来たキャバクラ嬢、そして薬で捕まった事のある筆者、キャラクターが立ちすぎな感はあるが、彼らの繰り広げる珍道中と元特攻隊員へのインタビューが渾然一体となって石丸元章ワールドを作り出す。

軽くナンパな文章にクセがあると思う方もいるかもしれないが、読み進めれば別にそんな事は気にならなくなるはず。

最後の章「痛みを抱きしめながら、あの旗を撃て!」の話は出来すぎな気もするが、まあ出来すぎでもそれはそれでいいんだねと思える出色の出来。

新宿に仕事の面接に行った帰り、新宿御苑のウェンディーズ(今はもう無い)でこの本を読み終えた。ちょうど昼前に店に入ったのだが、読み終わる頃には昼ご飯タイムの真っ只中となり店内はほぼ満員だった。

その真っ只中でちょっと涙ぐんでしまったが、まあいいやと思って読み終えた。

生きてて良かった、今が平和で良かったなと思った。

神風特攻隊の本を読むのはこれが初めてだったが、これぐらいの出来の本じゃなけりゃ他のは読みたくないな、なんてかなり勝手な事を思った。