今年(2017年)も凱旋門賞に果敢に挑戦したサトノダイヤモンドとサトノノブレスの日本勢は見事に負けた。
同日のJRAのGIレース・スプリンターズSの売り上げが125億円、JRAが発売した日本国内分の凱旋門賞の売り上げは34億円となり、去年(2016年)の売り上げは前者が127億円で微減、後者は41億円で20%減となった。
今年は前哨戦のフォワ賞でエース格のサトノダイヤモンドが惨敗してしまい本番も危ういというムードが濃かったため、売り上げ減となったのだろう。同日のスプリンターズSの売り上げがほとんど変わらなかったことを見るとそういうことなのだろう。
凱旋門賞で一番有利だと言われている「3歳牝馬」のエネイブルが直線で楽に抜け出したのを見てやっぱりなと思ったのと同時に、日本の中距離層のエース格の牡馬を連れて行く日本勢の挑戦スタイルをこのまま続けて勝てるのかしら?と強く思った。
だって、有利と言われている3歳牝馬が日本勢として挑戦した例は2014年のハープスターしかいないのだ。
実際、ハープスターは同じ年に出走した牡馬のジャスタウェイとゴールドシップより上位の6着に入っている。
2014年のジャスタウェイといえば押しも押されぬ当時の日本の中距離界のエース、ゴールドシップは長距離界のエースである。その両横綱に対して2頭より劣る実績の3歳牝馬が先着したのである。
だから、次の年以降は毎年3歳牝馬が挑戦するだろうと思ったが、そうはならず。2015、2016、2017年と参加頭数はゼロなのである。
これはどうしたことか、勝つ気あんのかよっていう話になる。
これは日本文化の美学みたいなものも関係しているのだろうか、日本の男のエースが勝たないとダメなのか。
3歳の小娘が勝っても自分らのプライドが許さないのかよ、って今年の勝ち馬がその小娘じゃないかよ。
去年も似たようなことを書いたが(「マカヒキは負けた、そして海外レースの馬券発売はJRAの踏ん張りどころ」)、やはり日本勢の挑戦はあまりにフェアすぎる。3歳牝馬が強いなら桜花賞とオークスの上位5頭ずつの計10頭で挑戦すればいいのである。
競馬と言う勝負の世界なんだから、勝つ可能性の一番高い馬で挑戦するのがスジだろう。
その年の3歳牝馬路線の最終戦である秋華賞の売り上げは激減するだろうが、だったら秋華賞の賞金額を5倍くらいにしてヨーロッパの3歳牝馬を招待すればいい、強いヨーロッパの3歳牝馬は全頭が日本に来ている、これで凱旋門賞は勝てる、うん、これいいアイディアだな。
というのはやりすぎかもしれないけど、それぐらいの気持ちは持って欲しいJRAには。だって、凱旋門賞のレースはJRAが主催せずに他人のフンドシで相撲取るだけなのに40億近い売り上げがころがりこんでくるのだ。
リスクを負うのはJRAじゃなくて、挑戦した馬主と馬と、あとファンなのだし。
「他人のフンドシで相撲を取ってる」なんて言われたくなかったら本気になれJRA。
最低でも4頭で挑戦してくれ
今年の2頭は相手にならなかったので、最低でも4頭はそろえて挑戦しよう。逃げてレースを作れる馬が1頭、これは武豊とかに乗らせればいいな。
で中段から先団で控える本命の2頭、鞍上はルメールとデムーロでいい、そして最後の直線が長いからもしかして追い込みが決まるかもみたいな追い込み一手の馬が1頭、これはやはり横山典弘あたりを乗らせるか。
その4頭と4人で毎年参加するのだ、これはハマれば5年くらいでタイトルが取れるかもしれない。
よし、これで騎手は決まった。
で、次にローテーションだ。
ローテーションはエルコンドルパサーを真似たいけど
今までの日本勢の中でひときわ異彩を放つのが、エルコンドルパサーのローテーションである。
春にヨーロッパに渡り、3戦した後に凱旋門賞に臨み、勝利にかなり近い2着を取った。実際、1着のモンジューはエルコンドルパサーより軽い斤量の3歳馬であり、タラレバを言ってしまったらどうしようもないが、日本馬が凱旋門賞に一番近づいた2着であったと言っていいだろう。
エルコンドルパサーを真似るとすると春シーズンに日本で稼ぐのをあきらめて、賞金の低いヨーロッパで滞在費をかけながらレースに出るというかなりのコストを強いられるハメになる。
エルコンドルパサーがなんでこんなローテーションを組めたのかと言うと、前年にジャパンカップを勝っていたのでもう日本のレースを勝っても意味がないと腹をくくっていたからだろう。
しかし、まあこういう根性のあるエルコンドルパサーみたいな馬が毎年現れるのを待っていることはできないので、まあ夏か秋にフランスで最低でも2戦くらいして、凱旋門賞に臨んでほしい。
あと、日本にフランスの馬場に似た競馬場があれば、そこでトライアルレースを開催すればいい。G1勝つとかじゃなくて、凱旋門賞に合った馬場のレースを勝った馬がいいと思うんだ。
思い切って上位5頭くらいまで優先出走権プラス滞在費プラス渡航費と登録料を全部出すよって。
札幌記念を2400メートルにしてトライアルにしたらどうだ
日本の競馬場で、一番ヨーロッパの馬場に近いのはどこかと言ったら函館競馬場と札幌競馬場である。
だったら夏の最強馬決定戦である札幌記念の距離を2000メートルから2400メートルに延ばして凱旋門賞トライアルにすればいいんだ。
これはいい。2400メートルが難しいなら2600メートルでいい。一緒に札幌日経オープンもトライアルにすればいい。
で、このレースには3歳牝馬はあまり出ないから3歳牝馬クラシックの桜花賞とオークスも凱旋門賞トライアルにすればいい。
これで日本の凱旋門賞のトライアル4レースが決まった、桜花賞、オークス、札幌日経オープン、札幌記念だ。あと、春の天皇賞と初夏の宝塚記念も加えて6レースにしよう。あと怒られるけど日本ダービーもね、これで7レース。
上位5頭だと35頭になってしまうので、上位3頭で計21頭まで減らそう。
で、この21頭とルメール、デムーロ、武豊、横山典弘、他多数で毎年参戦するのだ。多分勝てるぞ。
でも、凱旋門賞ってそこまでして欲しいタイトルなの?
この案を実践すれば多分5~10年で勝てるのではないか、でも国内の多数のレースが凱旋門賞仕様になってしまってファンは喜ぶだろうか、というか勝ったらその後どうすんだ、勝ってからも毎年そんなことできるのか。
毎年凱旋門賞の売り上げが40億円くらいあればいいかもしれないが2年目の今年がいきなり40億円割れしてしまっているのだ。
というより40億は売り上げだから、JRAの取り分は25%の10億円だ、さらにフランスギャロの取り分があるから半分渡しても5億円だ。
21頭と関係者の滞在費に渡航費に、21頭分の登録料、結構いい値段しそうである。
そもそも日本には秋にジャパンカップという日本と国外の馬のトップを決めるという名目のレースがあるのである、そっちはどうなるんだ。JRAの凱旋門賞シフトによって、ジャパンカップのレベルダウンを招いたら意味が無い。
実際ジャパンカップの国外からの出走馬のレベルは毎年低い、日本国内の馬が十分強いのでレース自体のレベルが低いかと言われるとそれは微妙なのだが、毎年よくわからない無名の外国馬がやってきて、かなりしらけるというのが多くの日本のファンの気持ちだろう。
ジャパンカップを12レースに増やす
だから、やはり凱旋門賞の売り上げは全部ジャパンカップに使って国内のレースを楽しくするというのでいいのではなかろうか。
凱旋門賞は勝たなくていいよ、売り上げさえ持ってきてくれれば、というか勝たない方が売り上げあがるだろうし。
他国の凱旋門賞を勝ちたいのか、それとも日本に世界トップのレースを作るのか。ファンからしたら日本に世界トップ、つまり世界一決定戦があるほうが圧倒的に興奮するよ。
仮に「凱旋門賞が欲しい」というモチベーションの一つが「世界一のレースだから」というものならば、日本に作ればいいのだ。
まず、当たり前だけど、現在ジャパンカップは芝とダート(チャンピオンズカップ)の2レースしかないけど5レースくらい作る。
芝1200メートル、芝1600メートル、芝2000メートル、芝2400メートル、芝3200メートル、ダート1200メートル、ダート1600メートル、ダート2000メートルの計5レースだ、あ、8レースになった。
まあでもしょうがない。8レースあったら楽しいもん。開催する競馬場をどうするんだという大きな問題はちょっと置いておく。東京競馬場で全部できるのか、今中京で開催しているダート(チャンピオンズカップ)はどうすんだという問題も置いておく。
だってファンの楽しさの前にはそんな競馬場の問題なんて些細なことだ、どうにかしてもらわないと困る。
で、一つのレースの総賞金を5億円くらいにするとすると、8レースだから40億円で、凱旋門賞のJRAの売り上げとトントンじゃないか。
凱旋門賞の40億円の売り上げは全部JRAのものになるわけではなく、まず75%を当たり馬券に払うから残り10億円、凱旋門賞の主催であるフランスギャロと折半するだろうから半分の5億円くらいしか入ってこないだろうが、ジャパンカップが8レースあったら、楽しいよ、こりゃ。
凱旋門賞だけでなくブリーダーズカップとか香港のレースとかも馬券発売してるから海外分の収益だけでなんとかなるのではなかろうか。
で、8レースじゃなんかあれなんで、牝馬限定レースとか馬齢限定レース(2歳とか3歳とか)も増やして計12レースにすれば一日の全レースがG1レースになる。
アメリカのブリーダーズカップよりも楽しいレースになるはずである。こりゃあ楽しい、この夢のジャパンカップ12レース化計画は発案者(私)の地元である東京競馬場で開催する予定なので私もうれしい(私は京王線沿線に住んでるから)。
で、凱旋門賞を勝つにはどうすりゃいいのか
凱旋門賞を勝つ話が、ジャパンカップを12レースに増やす話になってしまったが、凱旋門賞に挑戦する馬の顔ぶれを見て毎年思うことが、「中距離」路線の馬ばかりだなということ。
今年のサトノダイヤモンドは3000メートルの菊花賞を勝っているので厳密には中距離ではないが、サトノダイヤモンドが長距離重賞であるダイヤモンドSとかステイヤーズSに出走するのは考えにくいのでやはり中距離馬カテゴリーに入れていいと思う。
というか私はデルタブルースとかポップロックみたいないわゆる長距離じゃないと「ダメなのアタシ」って感じの馬が凱旋門賞を勝つんじゃないかなと思っている。だから、アルバートとか、ゴールドアクターとかの馬主さんたち、そこらへん、よーく考えてみよう。
あと、毎年、宝塚記念勝てなかったから凱旋門賞あきらめました、っていう関係者のコメントを聞くが、馬場が違うんだから関係ないでしょと思う。むしろ宝塚記念で負けたほうがいいのではないか、今年のキタサンブラックとかね。なんで挑戦しなかったかサブちゃんよ。