『頭医者』と聞いて昔の探偵モノだと思ったけど

『頭医者』加賀乙彦 中公文庫

  • 書名:『頭医者』
  • 著者:加賀乙彦
  • ISBN:978-4122020283
  • 刊行日:1993/09
  • 価格:-
  • 発行:中央公論社
  • ページ数:695
  • 形態:文庫

今年(2013年)の夏に河辺に住む友人の家に行き、その近くのブックスーパーイトウで井上靖の『四角な船』をついに見つけた話を以前書いた(→世界で4度目のやっと逢えたね)。

その時の友人(ここに書いている[ホシザキテツロウ])に本を数冊もらったのだが、その中の一冊が『頭医者』(あたまいしゃ)であった。

タイトルと表紙から探偵モノ?かなと思った。

犯人の頭の中を探る医者のような探偵が出てくるのでは?と思ったのだ。

しかし本を開いてみると、大学を卒業して精神科の医者になった青年(著者がモデル)の青春モノであったのだ。

T大の付属病院で働き、千葉の私立病院でアルバイトをし、東京拘置所に勤め、パリに留学する中で主人公が出会う奇人変人たちが大暴れする。

『頭医者』という題名は著者が精神科医に付けた名前である。いまいちなじみのないジャンルなのでわかりやすい名前がないかと考えたようだ。

青春モノは椎名誠の『哀愁の町に霧が降るのだ』が今まで読んだ中では最高峰だと思っているがそれに迫る面白さであった。