はい、泳げませんでした 『はい、泳げません』

プール

  • 書名:『はい、泳げません』
  • 著者:高橋秀実
  • ISBN:978-4104738021
  • 刊行日:2005年6月23日
  • 発行:新潮社文庫
  • ページ数:191
  • 形態:文庫

カナヅチの筆者がスイミングスクールに通い、泳げるようになるまでの記録を綴ったのが本書である。

私も小学生の頃は泳げなかった、あれは全国的なものだったのかわからないのだが私の小学校では何メートル泳げるか、どんな泳法が出来るかで、子供達はクラス分けされていた。

クラス分けというと聞こえはいいが、つまり子供達に階級がついていたのである。下は10級で、上は1級であったはずである。

その階級がすぐにわかるように、我が小学校の子供らは軍隊の階級章のように水泳キャップに印をつけられていた。

確か10級は黄色い線が一本、9級になると二本、そのように一本づつ線が増えていき、5級くらいで線の色が白に変わり一本にまた戻るというような感じだったはずだ。

1級は確か青色の線だった気がする。

しっかり頭の水泳キャップに階級が書かれているので、子供らはみんなプールでは同級生の顔よりも先に頭の上のその「階級章」を見て、「あ、こいつ泳げないんだ」とか「すげーコイツ100m泳げるんだ」とか思うのである。

私は泳げない上にそのような軍隊式階級社会にも耐えられなかったので水泳の時間が大嫌いであった。

結局、私は小学校の授業ではうまく泳げるようにはならず、中学生の時に友人が海でとても楽しそうに泳いでるのを見て、ボクも泳ぎたい!と思って泳いだらすんなり泳げるようになった(まあちょっと不恰好ではありますが)。

高橋秀実はスイミングスクールで「何で泳ぐのだろうか?」という考えてしまったら元も子もない問題を考えながら泳ぐ。

そんな小難しい事を考えているので泳ぎの上達は遅い、しかしついに彼は泳げるようになるのである・・・

最後まで結局泳げなかったら面白いなと思っていたが、ラストで義理の弟(いとこだったかな?)に泳ぎ方を教える場面はなかなかに秀逸。

ただこの作品の面白いところは筆者が通うスイミングスクールの生徒達(特に女性)に言われる辛辣なセリフである、なんだか身につまされるがなかなかにゾクっとするものがあるのだ。