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電車のドア横の手すりみたいなものとシートとの間にある空間、あそこにシートもしくはシートの区切り的な手すり側を背にして立つ行為に名前はついているのだろうか。
通勤電車に乗ってシートに座ると窓を背にする形になる、混んでないと大体の人がこの形で電車に乗ることになる。
混んでいるとシートに座る窓を背にする組と、シート客に相対して吊革につかまり窓側を向く人たちの組が出来上がる。
そんな2組とは違う方向を向いているのがドアの横のシートを背に立っている人たちの組である。
あのドア横の地帯の名前は椎名誠の著作のどれかで「愛の三角地帯」と名付けられていたと記憶するが、googleで「椎名誠 愛の三角地帯」と検索したもののそれっぽいものは出てこなかった。
で、本題に入る。
会社に行こうと京王線に乗ったら、ドア横の手すり付近(愛の三角地帯)的なところが空いていたのでそこに体を滑り込ませた。
滑り込ませたと言ってもそんなに混んではいなかった。シートは全部埋まっているが立っている人たちはドア付近に固まってる程度の乗車割合だった。
そこで本を読もうと思ったのだが、私の目の前に男性がドアに寄りかかって立って、さらに私の方を向いている。
ドアの真ん中のあたりに寄りかかって立ってくれればちょっとはいいのだが、真ん中よりその男性はこちらに寄っている。
で、彼はスマホをいじっているので私の本とぶつかりそうなのだ。
いや、私の本の下に彼のスマホが潜り込んでいるくらいだ。
そんなにこっちに寄りたいのか青年、私のことが好きなのか。
いや、彼のスマホも気になるのだが彼はさらにしきりに鼻をすすっているのだ。
ズルズル。
本に集中したいがスマホの画面が視界にチラチラと入る。そうかインスタグラムを見ているのか、そうか。
インスタで鼻がズルズルしているのか、だったらしょうがないか。
君に名前を付けてあげよう、インスタ・ズル夫だ。
私はズル夫が気になって本に集中できない、あっちは私のことが好きで寄ってきていてこちらも気になっているとなれば2人は恋の道にまっしぐら。
やっと明大前に着いたと思ったらズル夫も降りた、私たちは気が合うようだ。
ズル夫が私の前を歩いていく、思ったより背が小さかった。さっきは気づかなかったが上着もズボンも同じ茶色だった、うーん、あまり私好みではない。
あ、そういえば私も今日は上下とも茶色だった。
私とズル夫はかなり気が合うようだ。
まる。