心の隙間をくすぐられる 『ぼくはオンライン古本屋のおやじさん』

古本

  • 書名:『ぼくはオンライン古本屋のおやじさん』
  • 著者:北尾トロ
  • ISBN: 978-4480420671
  • 刊行日:2005年2月9日
  • 発行:ちくま文庫
  • ページ数:297
  • 形態:文庫

新宿ルミネのブックファースト(旧青山ブックセンター)には、新宿での待ち合わせ時間に早く着きすぎた時や、 待ち合わせ相手が遅れた時の暇つぶしによく行っていたが、最近久々に行ってみたら影も形もなかった・・・

そんな風に暇つぶしで利用していた新宿ルミネのブックファースト(旧青山ブックセンター、今はもう無い)は本の並べ方がうまかったのか私は結構この本屋で本を買っていた。

本書も待ち合わせまで時間が少しあったので覗いてみた時に、ちくま文庫コーナーにあるのを見つけて買った本だ。

私は数年前というか10年くらい前、浅草のゲーム問屋でオンラインショップの担当として働いていた。

私の働いていたゲーム問屋は吹けば飛ぶような規模の会社であったが、有名な小売店のネット部門といい勝負をしていた。ネットでは実際の商売の規模に関係なく大きな店も小さな店もある程度同じレベルで競争できているというのが面白いなと思っていた。

楽ではないだろうが家でオンラインショップを開くというのもいいかな、なんて思っていた。

ちょうどこの本を買ったのはそのゲーム問屋をやめて無職となっていた時だったので、「ああ、オンラインの古本屋で生計を立てるってのもいいかもな」と思い、この本が私の心の隙間にピッタリと入ってきたのである。

本の内容はネットショップの立ち上げからある程度店が軌道に乗るまでのエピソードと、日記で構成されている。

古本屋になれるかどうかの条件をあげている箇所があり、その中の一つでなるほどと思ったのが

「自分の持っているいい本を手放せるかどうか」という条件である。

作者の北尾トロは店に注文が来ると、注文が来た本を発送までの間に読んでしまうのである。(もちろん発送する全ての本を読んでいるわけではないのだろうが)

なんだか、面白い本でも読み終わったら他の人読んでもらおうじゃないか、という北尾トロのスタイルが本好きの理想のスタイルではなかろうか?などと私は思ったのである。

手放したくない本はまだまだいっぱいあるが、いずれ私もオンライン古本屋を始めようかな、なんて考えているが、妻に言ったら大反対だろうな。