本を探す楽しみ

休日に転職活動の勉強のために近所の図書館(三鷹)に通うようになったのが今から2年ほど前、その時に図書館の文庫コーナーを覗くと前から読みたかった本がズラリと並んでいた。

その近所の図書館はできたばかりだったので、新刊の文庫ばかり並んでいたのだった。それ以来図書館に行くたびにちょこちょこと本を借りるようになった。

最近では遠出をして調布の駅前の中央図書館に行ってみたが、そこはビルの中の快適な空間でこれは穴場を見つけてしまったと興奮した。

休日にもかかわらず、イスがうまっておらず、かなり空いていた。

近所の三鷹の図書館は狭いせいか、休日の午後ともなるとイスが埋まってしまうのだが、調布はそんなことはない。

妻からは昔の調布の図書館は掃き溜めのようだったと聞いていたが、その時から建物も変わっているのでそんなことはなかった。

帰りに調布のブックオフに寄ると図書館の空き具合とは対照的に、立ち読み客が多くレジに列ができていた。

ブックオフのユーザと図書館のユーザは重なることはないのだろうか、重なるはずなんだけどな。

10年くらい前までは本は新刊書店でしか買っていなかったが、欲しい本が新刊書店になかったり高すぎたりすることがあり、それ以来古本屋でも本を探すようになった。

よく行っていた古本屋は主に近所の大型古本屋(昔吉祥寺周辺に数軒あったブックステーション)だったが、近くにブックオフができたせいか潰れてしまいそれ以来ブックオフを利用している。

黄色いと青の下品な看板で、「いらっしゃいませー」と連呼する八百屋みたいな古本屋なんて・・・と最初は思っていたが、最近では慣れてしまった。

ブックオフで楽しいのは、というかブックオフといえばこれ、なのだが、それは100円コーナーである。

聞いたところによるとブックオフの100円コーナーというのは、その本の価値がどうかとかではなく同一店舗に同じ本が5冊以上そろうと100円コーナーにまわされるというのである。

つまり、自分の欲しい本がその店に集まっていた場合、100円コーナーにまわる可能性が高くなるのである。だから本の多い大型店舗のブックオフほど100円コーナーに、欲しいものが見つかることが多くなるのである。

これは、結構大事なことである。

昔、つまりAmazonのようなネット書店の無い時代。私はどこで本を買っていたかというと、吉祥寺のパルコブックセンター、新宿の紀伊国屋(高島屋隣の方)、神田の三省堂である。

何でかと言うと、当時(10年くらい前)の吉祥寺のパルコブックセンターは私が住んでいる三鷹地域では一番大きな本屋だったからで、新宿の紀伊国屋と神田の三省堂は電車でちょっと行くけどおそらく東京で一、二の品揃え、だと思っていた。

つまり、自分の欲しい本が「ありそうな」本屋に行っていたのである。これがAmazonの進出によって変わる。

Amazonには無い本がほぼ無い、無い本が無いという表現自体おかしいのだが、Amazonだとつまり普通は無いはずの本が「ある」のである。

もちろん、それは中古であったり、値段が高騰していたり、送料がバカ高かったり、するのであるが、基本的にはある程度のお金を出せば、新品ではないにしても買えるのである。

Amazonで検索し、カートに入れると他の本も薦められて、それもカートに入れると1,500円以上は送料無料!(今は2,000円以上?)となって、街の新刊書店に行くより安いや、となってポチっと注文してしまう。

で、次の日かその次の日に家に本が届く、わあ、うれしい、となるのだが、そのまま積読になってしまう。なんで積んだままになるのかというとAmazonで買うと購入したという記憶があいまいになり、なんでその本が自分の部屋にあるのかよくわからなくなるのである。

たぶん、その本が10万円くらいして、買うかどうか逡巡した上でのAmazonでの購入ならそうはならない。

あまりにもスマートにすっと自分の部屋に本がやってくるので、購入するまでのストーリーがないのである。

つまり、楽しくない。

で、気づくのだ、実際の店に行ってサイフから金を出して買った方が楽しいと。

そのドラマ、過程が楽しいのである。

なのでAmazonで買うというのは、本の楽しみを半分くらいなくすような行為なので私はできる限り本屋かブックオフか、図書館で探すようにしているのだ。