- 書名:『キミは他人に鼻毛が出てますよと言えるか』
- 著者:北尾トロ
- ISBN: 978-4344407992
- 刊行日:2006年6月
- 発行:幻冬舎文庫
- ページ数:307
- 形態:文庫
少しの勇気とやる気を出せば出来る事をフリーライターの北尾トロが実行した記録がこの本である。
電車の中でマナーの悪い人に注意する、高校時代好きだった人に告白する、他人の鼻から出ている鼻毛を指摘する、競馬で一点勝負をする、電車で知り合った人とその日のうちに飲みに行く、ポエトリーリーディングに参加する、競馬場で席取りをしている人に挑む、などなど。
ちょっと気になるけど、勇気が無くて出来なかった事。
北尾トロは、出来ないままで終わったら後悔だけが人生に残る、と思い果敢にチャレンジしていくのである(と言ってもそこまで大仰なことではないけど)。
私にとって一番難易度が高いのは電車の中でのマナーの注意と電車の中で知り合った人とその日のうちに飲みに行く事であろうか。
電車の中で他人に対して悪感情もしくは好感情を持ち、その他人と交流をしなくてはならないというのが私には難しい。
前者はまあケンカになる確率が高い、後者はナンパみたいなもんである。
まあケンカもナンパも何が恐いかと言えば、失敗(殴られるとかフラレル)を第三者に見られる事であろう(私にとっては)。ええカッコしたいのである、失敗をするような人間であると他人に思われたくないのである。
だから電車の中でマナーの悪い人に注意しているおっさんや、街でナンパしている若者はスゴイなーと思う。
あと、結構難易度が高いのが競馬の一点勝負、これは競馬をずっとやっている人ほど実行ができないことだと思う。
初心者だとそもそも当たるかどうかもわからない、というか自分が当たる状態を想像すらしていないので、100円だけと言って一点勝負をすることになる、で、実際これが一番賢い買い方なのだが、なまじ何度か当たったことのある競馬中毒者はこれができない。
簡単な話なのだが、詳しくなればなるほど出馬表に出てくる馬たちを知るようになり、1枠のこの馬は前走はダメだったけどこの条件ならよさそうだし、2枠の馬はお父さんが好きな馬だし、3枠に乗っている騎手は今日は調子よさそう、4枠は毛ヅヤがいいよね~、5枠は勝ちまくってるから今回もいいとこ行きそう、6枠は俺のラッキーナンバーが6だから・・・
結局買った馬券を見てみると、どれが本命だったのかわからない、さらにどのパターンが来ても馬券を買いすぎたためギリギリプラスになるかならないか、じゃあ最初から一番来そうにない最低人気を100円だけ一点買いでもしといた方が、よかったよ。ハハハ、なんて思ってレースを見るとその最低人気が1着で単勝100円がなんと5,000円になる大穴馬券・・・
で自分の馬券は全部外れ。
なんてことになるのである、さらに当たっていても結局は自分の本命馬を一点買いしていた方が配当も大きい。
たとえば、1着を当てる単勝馬券が下記のような倍率の場合。
本命:3.2倍
対抗:5.6倍
3番手:8.7倍
三頭の馬券をそれぞれ買うと、100円×3で300円となり、配当は320円から870円の間となる。三頭のどれかが来る限り、最低でも320円の配当なので損はしない、でも、300円買って320円ということは20円の儲けであり、だったら買わないほうがましである。
だが、本命の一点買いをした場合、100円が320円になる可能性があり、さらに三頭に賭ける予定だった300円を一挙に投入すれば300円が960円になる可能性があるのである。
当たりやすい買い方での薄利を狙うか、一点で儲けを狙うか、そもそも当たりやすい買い方とは言っても一点買いに比べれ少しだけ当たりやすいだけで絶対当たるわけではない。
だから大体においてというかほぼ絶対一点勝負の方がワリがいいのである。
でもわかっちゃいるのにやめられないのが馬券の買い方であり、まあそれが楽しいのかもしれないが、ホントに一点買いは難しいのである。