マカヒキは負けた、そして海外レースの馬券発売はJRAの踏ん張りどころ

競馬

競馬に興味がない人にはどうでもいい話題でしょうが、競馬に興味がある私には今年一番のニュースと言ってもいいのがJRAの「海外レースの馬券発売」です。

なんで私が興奮しているのかは、興味がない人にはほんとうにどうでもいい話でしょうが、あえてお話しさせていただきます。

毎週というかほぼ毎日、日本のどこかで競馬のレースが行われているので、私を含む競馬ファンたちは日本国内のレースの馬券を現地、またはネットで買うことができます。

実際に馬券を買うには20歳以上である必要があったり、ネット購入であれば銀行口座を持っている必要があったりするわけですが、日本国内の競馬のレースであれば基本的には全てのレースが買える状態にあるわけです。

中距離では日本馬はかなり強い

で、ここからが馬券とは少し違う話になるのですが、今から500年くらい前に今と同じような形の競馬がイギリスから始まって世界に徐々に広まってきました。

日本にも明治維新をキッカケにイギリス発祥の競馬が入ってきました、それまで日本にいた馬は日本在来種がほとんどでしたが、海外から体が大きくスピードも速いサラブレッドが入ってきました。

海外から入ってきたサラブレッドに子供を生ませ、日本でもサラブレッドの生産が始まりました。当初は日本の馬は外国(特にヨーロッパ)の馬には太刀打ちできませんでしたが、1990年代中盤頃より段々と海外のG1レースを勝つようになってきました。

で、2016年現在では、おそらく競馬の中長距離路線では日本の競走馬のレベルは世界のトップかトップグループに位置するであろうと、少なくとも日本の競馬ファンは考えています。

実際2014年には、日本の中距離路線のトップホースであるジャスタウェイがワールド・サラブレッド・ランキングで1位を獲得しており、日本馬が大挙して海外のG1レースに挑戦したら半分くらいは勝ってしまうのではないかという勢いであります(私の見解)。

日本の競馬ファンにとっての海外レースの中での一番の権威がフランスで行われている「凱旋門賞」というレースです。現在の競馬のメイン距離芝2000メートルよりも、凱旋門賞は芝2400メートルと400メートル長いですが、とにかく凱旋門賞はあこがれなのです。

凱旋門賞には日本から何度も挑戦しているのですが、エルコンドルパサーもオルフェーブルも、そしてディープインパクトも勝つことができませんでした。

凱旋門賞に日本馬が挑戦するたびに話題になるのが日本からの出走馬があるのになんで馬券が買えないんだ?というものでした。

で、遂に今年、海外の大レースに日本馬が出走する場合にはそのレースに限り馬券が発売されるということが決定されたのです。

で、私は大いに興奮したのですが、マカヒキが大敗して、その後に売り上げ41億達成!というニュースを見て、待てよ、これ大丈夫か?と思ったわけです。

まず、今回のマカヒキの負けた原因はよくわかりません、というか競馬の敗因なんつーのは、競馬ファンがそれぞれ一家言みたいのを持っていて私がどうこう言えるようなものではありません。

私自身はとくにマカヒキを応援していたわけではなく、凱旋門賞の馬券が買えるということに興奮していたので、マカヒキが負けたこと自体には特に感想はありませんが、本当に勝ちにいきたいなら、マカヒキを勝たせるためのペースメーカーを数頭連れて行くとか、今回3着までを独占したエイダン・オブライエン厩舎のように同じ厩舎の馬を数頭連れて行き、チームで勝ちに行くとか、日本のエース級を10頭くらい同時に出走させるとかをすればいいと思います。

まあ、そこまでしてタイトルが欲しいのかと言われればどうなんだろうと考えてしまいますが、今までの日本馬の凱旋門賞への挑戦スタイルはあまりにフェアというか潔すぎるようにも思えます。

で、本題ですが、マカヒキが勝っても負けても、日本競馬にとっては大きな損失になるのではないかと私が思ったという話が重要です。そう、その話がしたかったのです。

マカヒキの世代は史上最強かも?と言われている超ハイレベル世代でマカヒキ以外にも別の年に生まれていたらエースだったはずの馬がゴロゴロいます。

その最強世代のダービー馬であるマカヒキが凱旋門賞に大敗したわけです。マカヒキが強くないということは、国内に残った最強世代の他の馬たちもたいしたことないのでは?という疑いが出始めるはずです。

マカヒキ以外の最強世代は菊花賞に参戦します、ここで勝った馬が暮れの有馬記念で帰ってきたマカヒキと対戦することになるのを望んでいますがどうなることでしょう。

海外挑戦はリスクがいっぱい

マカヒキの凱旋門賞での大敗を見ると、もしかしたら故障したのではないかとも思え、このまま引退の可能性もあります。

結果論になりますが、凱旋門賞挑戦はマカヒキにとって大きなリスクだったかもしれません、私はマカヒキのファンではなくライバル馬のディーマジェスティのファンなのですが、凱旋門賞を勝ったマカヒキをディーマジェスティが有馬記念で破るというのを夢見ていただけに非常に残念です。

今年の有馬記念の楽しみが減った、と私は感じました。

つまり日本馬の海外レースへの挑戦が、日本の競馬界が一番大事にすべき国内のレースへのファンの興味を殺ぐような結果を導いてしまってはダメだと思うのです。

凱旋門賞に挑戦するなとは言いません、遠征費などの金銭上のリスク、致命的な故障のリスクを考えた上でのチャレンジは賞賛すべきものだと思います。

マカヒキがあと2回海外で走ればスプリンターズSと売り上げが同じになる

で、今回の凱旋門賞です。

同日の日本馬が全16頭中16頭出走した国内G1スプリンターズSの売り上げが126億円に対し、日本馬が全16頭中1頭(マカヒキ)だけ出走した凱旋門賞はなんと40億円、1/16の出走頭数で売り上げは1/3、すごい割合です。

マカヒキに海外であと2走してもらえばスプリンターズSの売り上げとほぼ同じです。

創設から数十年国内で頑張って築き上げたG1レースの売り上げが126億円で、日本馬1頭が出走しただけの他人の国の凱旋門賞が40億円です。

自分らで頑張ってレースを開催するより、有名な海外レースだけ発売すりゃあいいじゃんとJRAが思ってしまったら大変です。というかそう考えるJRAの職員も出てくることでしょう。

でも、私ら競馬ファンが見たいのは地元での面白いレースです、面白いレースとは何か、それは強い馬がたくさん出るレースです。

だからG1レースに人が集まるし、有馬記念の売り上げがすごいことになるのです。

で、私の一番の望みは世界一強い馬たちが地元でしのぎを削って欲しいのです、凱旋門賞はおまけです、おまけ。

で、話を戻しますが、今回の凱旋門賞で一番リスクを負っているのは誰かということです。

JRAでしょうか?まあ、それなりにリスクは背負ってるでしょう、でも一番リスクを背負ったのはマカヒキとマカヒキの馬主です。

渡航費を出して、故障のリスクを負っているわけです。わざわざ凱旋門賞で勝たなくても日本であとG1を3勝くらいすれば渡航費もかからず凱旋門賞と同じ額のお金が入ってくるのです。

さらに馬主と馬の次にリスクを負っているのはファンです、われわれは地元で強い馬を見たいのです、仮にマカヒキが故障で引退となれば、もう地元でマカヒキを見ることができません。

マカヒキのファンは地元でマカヒキの馬券を買って応援して、そいでマカヒキが買ってお金も入ってきて欲しいのです。

マカヒキのアンチ(私)はマカヒキじゃない馬の馬券を買って応援して、そいでマカヒキが負けてお金が大きくなって返ってきて欲しいのです。

だから、今回の凱旋門賞の40億円の売り上げはマカヒキ陣営かファンに還元するようにしないといけないと思います。

あ、ホントウは40億円ではなくて40億円の25%にあたる10億円ほどがJRAの利益になります。

テラ銭(寺銭)として売り上げの約25%がJRAに入る

この25%は別名テラ銭、または控除率とも言います。

マカヒキとディーマジェスティの2頭が走るレースがあるとして、そこで3人の人間が馬券を買うとします。

Aさんはマカヒキに100円

Bさんもマカヒキに100円

Cさん(私)はディーマジェスティに100円

という馬券だった場合

馬券の総売り上げは300円になりますが、レースの結果、払い戻し金を払わなくてはいけません。

マカヒキが勝った場合は総額300円をAさんとBさんで分けるのでAさんBさんにそれぞれ150円が支払われます。

ディーマジェスティが勝った場合は300円全部がCさん(私)に支払われます。

ですが、プールされたお金を全部馬券購入者に支払っていたらレースの主催者は何も収入がなくなります、だから手数料を取るのです、それがテラ銭です。

JRAのテラ銭の率はだいたい25%なので、300円の25%である75円が引かれ馬券購入者に支払われる総額は225円になります。

だから、実際にはマカヒキが勝った場合はAさんとBさんには112.5円(一桁以下は切捨てなので実際には110円でオッズは1.1倍)が支払われます。

ディーマジェスティが勝った場合は225円(実際には220円でオッズは2.2倍)がCさん(私)に支払われます。

で、今回の凱旋門賞のJRAの売り上げ約40億円の75%は払い戻しに使われ、その余りの25%の約10億円が手数料としてJRAに入ることになります。JRAの2013年の国庫納入金が2500億円ほどなので10億円はそれと比べると小さい数字ですが、この10億円は誰のものなのかということです。

何か還元してくれ、ぬいぐるみでもいい

10億円で競馬場の施設がよくなったりすれば競馬界全体にとって悪いことではないと思いますが、施設がよくなるといっても、それは凱旋門賞の売り上げ云々ではなく競馬全体の売り上げが上がればそうなるわけで、10億円だけ使って施設を作っても何が作れるでしょうか、東京競馬場にトイレを2個くらい作って終わるのではないでしょうか。

2500億円は国庫納入金なのでちょっと比較するのはどうかと思うのですが、仮にJRAが2500億円の利益を出していたと仮定した場合、10億円は年収500万の人でたとえると、大体2万円ほどです。(利益の中から払った国庫納入金が2500億円なので実際にはもっと利益は出ている)

で、この2万円の年収アップですが給料がアップした2万円ではありません、たとえて言うなら道で拾った2万円です。

いや違いますね、パソコンに詳しくない人にヤフオクに出品してくれと頼まれたけど、めんどくさかったのでそれを友人に丸投げしたら10万円ほどの売り上げとなって、その依頼人からお礼として3万円もらったけど友人には1万円だけ渡して何もせずに2万円もうかった、ああよかった、みたいなものです。

つまり何もしてないのです、拾ったよりも性質が悪いかもしれません。リスクを負ったのは出品を頼んできたパソコンが苦手な人と実際に出品した友人です。

その2万円は空から落っこちてきたと考えなければいけません、だからその2万円で酒飲んで終わり、みたいにしたらいけないのです。

つまりその2万円はパソコンが詳しくない人に返すか、それとも出品した友人にあげるか、または困っている人にあげなくてはならないのです。

つまり、この10億円は体を張って凱旋門賞を取りに行った、つまりリスクを負った馬主か、ファンに目に見える形で還元しなくては納得しないということです。

いいアイディアが浮かびませんが、たとえば有馬記念の払い戻し額には今回の10億円を上乗せするとか

有馬記念にマカヒキが出走した場合、マカヒキの単勝を先着順で割り引き販売するとか

マカヒキ陣営に出走ボーナスをあげるとか

あとは日本における凱旋門賞と言ってもいい海外馬招待レースのジャパンカップの払い戻しに上乗せするとか

10億円を元出に、有馬記念だけで新しい馬券を販売するとか。

つまり目に見える形で海外馬券の売り上げをみんなでシェアしてますよ、って感じを出していかないと、今回から始まった海外馬券発売はリスクを負う馬主とファン、ノーリスクのJRAという風にファンに見られて、悪いことが起きるのではないかと思うのです。

馬が故障して、日本国内でのレースに出られなくなったうえに、売り上げを目に見える形で還元しなかったらファン離れに繋がり日本の競馬の衰退に繋がると私は危惧しています。

ほんとに何でもいいんです、くだらないDVDを作ってファンに配るんでも、ほんとに何でも、マカヒキのぬいぐるみを作って配るのでも、文句は言いません、欲しくないけど。

(※10億円が全部JRAに入るわけではなく、凱旋門賞の主催者であるフランスギャロに何割かが払われるはずです。)