幸福な読書体験 『ハイペリオンの没落』

  • 書名:『ハイペリオンの没落(上・下)』
  • 著者:ダン・シモンズ
  • 翻訳:酒井昭伸
  • ISBN: -
  • 刊行年:2001年
  • 価格:-
  • 発行:ハヤカワ文庫
  • ページ数:-
  • 形態:文庫  

前作の『ハイペリオン』を読んで、うーん、これはもしかしたらスゲイ小説なんではなかろうか?と思ったのだが続編であり完結編であるこの作品にも裏切られる事はなかった。

人類は宇宙に飛び出し多くの惑星に定住していた、人々は転位ゲートで自由自在に惑星間を行き来していた。そんな時惑星ハイペリオンに蛮族アウスターが迫りつつあった、同時にハイペリオンでは「時間の墓標」という謎の遺跡が開き始めていたのだった・・・

というようないわゆるSFチックな展開で始まる「ハイペリオン」のお話。

宇宙戦争、アンドロイド、究極知性、瞬間移動、時間旅行、神の存在・・・などなど、いわゆるSFで語られる多くのアイディアとガジェットがマジメに詰め込まれている。

SF的なものが沢山入っているからお腹一杯になるかと言ったらさにあらず、SFな感じが子供っぽさとかいわゆるアニメチックな感じになってしまっているかと思ったらさにあらず、SFってなんだか繊細な感じがしないと思ってもさにあらず。

ダン・シモンズはSFという材料を使って、超絶的なうまさでそれを料理して、一つの大きな物語として完成させた。

まあ損はさせないから、読んでみてよ。

幸福な読書体験が出来ると思います。

この続編の『エンディミオン』も非常に面白いので、まだ読んでない人がうらやましい。

よくないことが重なって 『やみなべの陰謀』

  • 書名:『やみなべの陰謀』
  • 著者:田中哲弥
  • ISBN:-
  • 刊行年:2006年
  • 発行:ハヤカワ文庫JA
  • 価格:-
  • ページ数:-
  • 形態:文庫

何でこの本を買ったのかよく覚えていないのだが、今はもうなくなった吉祥寺のパルコブックセンターのハヤカワ文庫SFコーナーでとにかくこの本を手に取ったのである。

文庫本の裏表紙の右上に本の内容の要約および短い解説などが書いてあるでしょう。
あそこの部分に確か「傑作」と書いてあったのだ。

売る側が「傑作」と書いているので非常に怪しいのだが、その時は何となく買ってしまった。
とは言ったものの、パルコでは見て気になっただけで実はその後amazonで買ったという記憶もある、どっちだったか。

私は文庫本をよく買うのだが、買ってすぐに読んだりはしない。

そうやって何となく買った文庫本が私の部屋に溜まっていて、「それより以前に何となく買った本」を「今読んでいる」というような状況なのである。

だから買ったばかりの「新人」の本達は私の部屋で寝かされる事になるのである。そうやって「新人」→「中堅」→「古参」となってやっと飼い主である、いや買い主だ。買い主である私に読まれるという喜びの瞬間を迎えることになるのである。

中には「大型新人」や「超新人級」などというのもいて、これは期待の新人なのですぐに読まれることになる。

逆に、「古参」の後に「最古参」となり、「忘れ去られ」、遂に読まれずに「引退」となった悲惨な文庫本達も少しだけ存在する。
もちろん、「引退」寸前に私に拾われ、その才能に私が気づき、めでたく「殿堂」入りした本だってある。

そんな熾烈な競争が繰り広げられている私の文庫本の世界に、いわゆる普通の「新人」として彼(『やみなべの陰謀』)は入ってきたのである。

普通の「新人」は買われてから1~3ヶ月後くらいに読まれることになる。
『やみなべの陰謀』君は買われてから大体1ヶ月くらいで私に読まれたので、まあワリと幸運な方である。

本の内容に触れずにここまで来てしまった。 まあとにかく結論としては、買って、読んで、面白かった。
ということである。

  • 田中哲弥というワリとよくある名前(覚えにくい)
  • ハヤカワ文庫から出版(SFだと思われて敬遠される)
  • あまりそそられないタイトル(と私は思う)

などなど内容以外のところで不利があるとは思うが、もっと有名になって売れていい本だと思う。

ハヤカワ文庫は私は好きなのだが、どうも一般受けがよくない。
大体の人はハヤカワ文庫と聞くと「ああ、SFでしょ」となるのである。

これはまだマシな方で、「ハヤカワって何?」という人だっている。
別にこの本はSFでないわけではないのだが、SFと言って大勢の潜在的な読者を遠ざけてしまうのが惜しいと思うのである。

私はけしてSFが嫌いなワケではない、とても好きである。 ただ、この本はもうちょっと一般受けして欲しいのである。 新潮でも角川でも講談社でもいいから『やみなべの陰謀』を出してみたらいいのに、なんて勝手な事を思っている。

ああ、そうだ内容に触れてなかった。 内容は5つの物語が語られ、その話が最後に完結?する話である。

まあいわゆるタイムトラベルものである。 しかしこの田中哲弥、非常に語り口が面白い。 句読点の使い方が面白いと思うのだが、他に読んだ方の意見はどうだろうか。

町田康の『パンク侍、斬られて候』に似ているなと思ったのだが、こっちの方も全く負けていない!ハズ。 たぶん田中哲弥さんは、実際に喋る話も滅茶苦茶に面白いのだろうなと思う。

東北版ひょっこりひょうたん島 『吉里吉里人』

  • 書名:『吉里吉里人(上・中・下)』
  • 著者:井上ひさし
  • ISBN:-
  • 刊行年:1985年
  • 発行:新潮文庫
  • 価格:-
  • ページ数:-
  • 形態:文庫

本作の作者・井上ひさしは、『ひょっこりひょうたん島』の原作者である(山元護久と共作)。

私が小学5年生の時、NHKで「ひょっこりひょうたん島」のリメイク版が放送された。

毒を含みつつも希望に溢れたセリフを喋り、いきなり耳に残る歌を歌いだす人形の出演者達に私は魅せられてしまった。

小学校5年生当時の私は、何気なくそのリメイク版を見始めたので、あとでビデオに録画していなかった事を多いに悔やんだものである。

しかし21世紀に入ると、NHKはひょっこりひょうたん島のリメイク版のDVDを発売、私もそのDVDを手に入れる事が出来てああ良かったとなったのである。

東北地方の村、吉里吉里は日本国からの独立を宣言する。

そこにたまたま居合わせた三文小説家である古橋健二の視点から独立騒動の顛末が描かれるのが本作『吉里吉里人』である。

一筋縄でいかない登場人物達とその名前、ひょうたん島のようにいきなり始まる歌と詩の数々、頻発する駄洒落と猥褻ギャグ、辛辣な風刺、そして理想主義。

登場人物が変わっただけでまるでひょっこりひょうたん島であった。(猥褻なギャグはひょうたん島にはなかったけど)

上中下巻なので読むのに3週間もかかってしまったが、私が読んだ小説の中でベスト10に入る面白さ。

いやあ、よかった。

もっと便器を

転職して4年経つが、今の会社にはかなり満足している。

だが唯一と言ってもいい不満がある。

それは男性トイレに大きい便器が一つしかないこと。

男性用の小便器は二つあるのだが、大便器が一つしかない。

会社の男性メンバーは15人くらいいるので、いつも午後は常に誰かが入っている。

私も時々入りたくなるのだが、誰かが入っていて一旦席に戻って待つことが多い。

ダムが決壊しそうな時は会社のメンバーに殺意すら抱く。

なので朝にまだみんなが出社していない時に、早めにトイレに入っておいたりしなきゃならないのだ。

時々個室の中でスマホをいじりながらウンコをしている人がいる、スマホを持って個室に入るのを目撃しているからわかるんだよこっちは。

これは殺意よりもっと強い感情が抑えきれなくなる、早くウンコ捻り出して出て来いよと、ほんとに。

最近『本の雑誌』が面白い

最近かなり読んでいる、私が今いちばん読んでいる雑誌だ。
と言っても雑誌はこれしか読んでないけど。

なぜだか、経営危機になって以来面白い。
Wikipedia を確認したところ2008年の12月号で経営危機であることが発表されたようだ、そんな前だっけ。
経営危機になったことでいつ無くなるかわからなくなったので読むこちら側もこれが最後かもと思って読んでいるので緊張感があるのだろう。

で、なんで面白く読んでるかというと。
本の話ができる唯一の話し相手なのだ。

本を読むのはほとんどが一人プレイの一人エッチ。
一人プレイなのでほとんどそれについて人と話をすることはない。

会社で昼休みに本を読んでいて、同僚から何の本読んでるんですか?
とか聞かれて、『カエアンの聖衣』です。
とか答えても、まあ話は続かない。

歴史小説だともう少し通じる可能性も高いけど。
今読んでるのは『剣豪将軍義輝』です!って言ってもまあたぶん話は続かない。

わたしゃそうやって話が続いたためしが無い。

いつも聞いたほうがキョトンとする。
じゃあ聞くなよと思うのだが何でだろう。
「村上春樹です!」とか言って欲しいのだろうか。

だから、最近は聞かれても「SFです…」とか「歴史小説ですよ…」とか言って、
それ以上話を続けさせないように冷たくあしらっている。
こっちにそんな気を遣わせるなよと思うが、まあそんなもんである。

出版系の会社ならそういう話も通じるのだろうけど、そういう”文化的”な会社に勤めたことが無いのでわからない。

一人プレイでもまあまあ楽しいけど、たまには誰かと本の話をしたい。
数少ない本の話をする友人と会うのは1年に数回、で、その友人は最近本を読まない。

だから本の雑誌が私の唯一の話し相手なのだ。
彼(もしくは彼女)は私の知らない本の話をいっぱいしてくれるのだ。

さらにすばらしいことに、私は彼に『ハイペリオン』とか『剣豪将軍義輝』がどんな小説で、どんなにすばらしいかとかをわざわざ説明しなくていいのである。
私は話さなくていいのだ、ずっと彼が喋ってくれるのだ。

友人と本の話をして盛り上がりたいけど、まあもう人生でそんなことは無いだろうなという私にとっての最後の友達なんである。
だからまだなくならないで。

私は本の雑誌をトイレでウンチを踏ん張るときとか、風呂から出て歯を磨くときとか、というかその時だけに読んでいる。
だから大体1日に2ページか3ページ進む。
本の雑誌は月刊なので、大体1ヵ月で一冊くらい読んでいる。
今は最新刊より3ヶ月遅れくらいのスピードで読んでいる。

本の雑誌を買い始めたのはたしか大学3年生の頃。
今から16年前である、たぶん。

だから本の雑誌は買い始めて16年になる、私が買ってきた雑誌の中で一番長い。

小学生の頃に買っていたコミックボンボンとコロコロコミックとか少年ジャンプとか、思春期に買っていたファミ通とかと比べても断然長い。

私史上一番長く読んでる雑誌ってことになる。
だから何と言うわけでもないけど。

新・さ迷える転職大変記 第19話 「まとめ」

この連載をこのブログで始めたのが2015年の9月なので終わるまで3年半くらいかかったことになります。

長かった、というかサボっていてごめんなさい。

今回は私の転職のおおまかなまとめです。
使ったサイトとか、これからのこととかを書きます。

使った転職サイトとサービス

  • サイト
    • リクナビ転職
    • マイナビ転職☆
    • エンジャパン転職
    • Green(転職活動終盤)
  • エージェント
    • アイムファクトリー

使った転職サイトは上記の通り4つです。

リクナビは掲載条件が更新前と全く同じみたいな大きめの会社が多かったです。
新しい募集を見ても、前回と同じじゃんとよく思ってました。

大きめの会社は書類とかで落ちるだろうなという思いもあり、後半はほとんどというか全く使っていませんでした。
これ使っている人いるのかな?と当時の私は思っていました。
2012-2015年の印象なので今はどうなってるかは知りません。

今の会社はマイナビで決まりました、前社もマイナビで縁があったところなのでわりと私はマイナビに対して採点が甘くなりがちです。
ですが、私の行きたい中小系が多く、さらに掲載内容もちゃんと取材しているなという感じでした。

エンジャパンは小さなマイナビみたいな感じで、頑張れ!と思っていました。

Greenは転職の終盤で使い始めたのでなんともいえません。SNSみたいな感じです、スタートアップが多くて今は無い会社も多いでしょう。

最近はエージェントが使えるという話も聞きますが、私の場合はアイムファクトリーからはほとんど連絡は来ませんでした。彼らから見ると私は市場価値がないと判断されたのでしょう。

面接した会社

事業内容 所在地 言語 合否 年収
Web制作 六本木 HTML/CSS/JS 20万円↓
教育系のソフトウェア開発 本郷 Flash 50万円↓
スマホゲーム開発 渋谷 HTML/CSS/JS × -
スマホゲーム開発 麻布 不明 × -
プロバイダ? 渋谷 不明 × -
システム開発/派遣 秋葉原 色々 -
システム開発/派遣 目黒 色々 100万円くらい↓
システム開発 恵比寿 色々 × -
システム開発/派遣 銀座あたり 色々 100万円くらい↓
システム開発/派遣 田町 色々 100万円くらい↓
Web制作 八丁堀 HTML/CSS/JS 二次断る -
システム開発 渋谷 HTML/CSS/JS/他 同じ
※受けた順番
※△は条件付きで来てもいいよと言われたところ

面接した会社は上記の通りで、数えてみたら12社でした。
応募したのはその3倍くらいでしょうか。

合格率は33%です、給料けっこう下がるならいいよみたいなところも含めると50%くらいというとこでしょうか。
高いのか低いのかよくわからないですが、合格率よりも何社受けて、何社目で決まったかの方が重要ですね。
決まるまでは大体10社受けた、という感じですね。

給与

給与は結局その時勤めていた会社とほぼ同額のところに決まりました。

最初に受かった六本木のWeb制作会社は年収20万円ダウンでしたが、その後に私自身の年収が会社の業績不振のため20万近く下がっているので、その会社も実際にはほぼ同額になります。

あと、未経験でシステム開発に行くと大体100万くらい下がるなという感じです。
合格したところはデザイナ部分を評価してくれたので下がらなかったんですね。

履歴書には希望給与を書くところがありますが、そこはそのときもらっていた額と同じ額を書いていました。
下に書けば受かるところもあるとは思うのですが家族がいたのでそれはできませんでした。

勉強と資格

勉強をして、なんとかJavaのBronzに受かりましたが、その後に作ったAndroidアプリは結局完成しませんでした。

学校に行こうと思い何校か資料を取り寄せてみましたが、受講料が私にはかなり高くて決断には至りませんでした。コストパフォーマンス的に割に合わないと当時は思いました。

転職決断と転職決定までは2年以上の時間がありましたが、半年くらいの休息期もあり、私の感じる限りで転職期間中にスキルはほとんど上がっていないように思います。

最近、今の会社に入ってきた新人の方々はTech AcademyでWebアプリを作ってそれを材料にして面接をして入社してきたので、私とは全く違うなと感じました。
やる気あるし、スキルも当時の私よりあるでしょう。

勉強面ではもっともっと頑張れたかなと思います。

今の会社

今の会社に決めた理由は社内の雰囲気と給与に尽きます。
12社受けましたが雰囲気が良いなと感じたのは3社か4社くらいで、その中でも今の会社が一番雰囲気が良かったです。

デザイナ的な立ち居地の開発者を求めていた会社が今の会社で、私の前職のデザイナのスキルが評価されたので給与も下がりませんでした。

未経験からシステムエンジニアを目指していましたが、結局未経験じゃなく経験していることが評価されたということです。

入社後4年ほど経ちますが、私はいわゆるシステムエンジニアという職種ではなくエンジニアの中でもデザイナ要素の強いフロントエンドエンジニアというポジションで仕事をしています。

前の会社ではHTML、CSS、Illustrator、Photoshopの仕事が80%くらいでしたが、今の私の仕事はJS(JavaScript)が仕事の70%くらいを占めています。
業務内容は結構変わったような気もしますが、前の会社からガラッと変わったわけではないなという印象です。

活動期間

活動期間は2年半くらいです。途中で心療内科に行ったりして、休息期間もあったので2年半の間ずっと走り続けたわけではありませんが、2年以上というのはかなり長いですね。

家族がいたから慎重になれたという側面もありますが、自身の成長という面ではもっと早くてもよかったのかなと思います。

これから

転職して4年経つと次の転職を考える人も多いでしょうが、私は次の転職はすぐしないと思います。まだまだスキル面が足りないというのと大きな転職の動機が今はないというのが理由です。

ただ、長い期間転職活動をしたので次に何かの理由で転職することになってもあまり慌てないだろうなとは思います。

この記事がこれから転職をしようとしている人たちの力に少しでもなればいいと思います。

ではまた。

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新・さ迷える転職大変記 第18話 「終章」

ついに年末の仕事納めの日に、合格をもらえた会社と給与面で合意ができた。

妻とも話し合って、そこに決めようということになった。

残ってるのは今の会社に辞めますと言うことだけだ。

長かった、まだ今の会社を辞められてないけど。

2度目の辞めます

正月の三が日が終わってすぐの仕事始めの日に、上司に「ちょっと話が」と切り出した。

2人で会議室に行き、上司に「辞めます」と言った。

2年以上前に「辞めます」と言ったときとは違い、上司は「やっぱり」という顔をした。

特に引き止められることもなくすんなりと「私が会社を辞めるのはOK」ということに。

それから社長室に呼ばれて社長とも話した。

社長は「残念が半分、ほっとしたのが半分」と言った。
つまり居なくなるのは残念だが、私の給与の負担がなくなるのはほっとするということだろう。
ずいぶん素直なことを言うと思った。

今の仕事は1ヵ月後の2月の初めまでという話になった。

引き継ぎ

辞めるのが決まってすぐに、数ヶ月前に辞めさせられた私の席の隣にいた同僚が復帰することになった。

つまり私の分の給与が浮いたので一人雇えるということなのだろう。

呼ぶ方も呼ぶほうだが、呼ばれてくる方も呼ばれてくる方である。

まあでもしかし、辞めさせるのは会社として結構重い決断だったのだなと思った。

それから取引先の印刷会社などにも辞める旨を伝えていった。

そして辞めさせられた同僚が復帰してきた。

それと同時に歓送迎会を行い、私の最後の日が近づいてきた。

最後の日はプレゼントをもらったりして、ちょっと涙ぐみながら会社を最後にした。

この会社には6年半くらい在籍したことになるのでかなり感慨深かった、さらに転職を考えたのが2年以上前、長かった。

転職初日

前の会社の最終日の翌日から新しい会社が始まった。

ブランクを空けたくなかったので翌日からにしてもらったのだ。

同じ渋谷の会社だが、反対側の改札で降りて歩いて行った。

前の会社と違い、社員たちはかなりゆっくり出社する。

11時が一応定時のようになっているので、初日に10時に会社に行った時ほとんど誰も来ていなかった。

社内の雰囲気もかなりゆったりしていてピリピリ感は非常に薄かった。

さらにスケジュール的な縛りもかなり薄い、というかホトンドない。

前の会社とほぼ真逆で最初は戸惑った。

4年経って

新しい会社に入って4年経った、前の会社の記憶がかなり薄れてきている。

書き始めて終わるまで3年以上かかったが、やっと終えられた。

前の会社に不満ばかりあったが、今の会社の在籍期間も4年過ぎるとあの不満も懐かしい。

実際に、前の会社と転職した新しい会社の何が違うか?と考えてみるが、あまり違いはない。

違うのは潰れそうか、そうではないかということぐらいである。

社長がいいか悪いかと言うのも、社長個人の性格や人徳ではなく大体は会社の景気次第なのだなという悟りみたいなものも出てきた。

次回はほんとの最終回で、この転職を総括します。

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新・さ迷える転職大変記 第17話 「ついに逆転か?」

二次面接まで進んだ八丁堀の開発会社を断ったが、焦りはどんどん募るばかり。

会社の経営が危ないので冬のボーナスも出ない、というかもともとボーナスはあるとしたら年1回夏にあるだけなので、毎年冬はもらっていない。

でも、年末になるとお金を使う場面が増えるので使わないものを売ることにした。
なので、家にある中古のゲームやらを中古屋さんに売った。

さらに、大切にしていたNikonの一眼レフカメラと少し前に買ったKindle paperwhiteもヤフオクで売ることになった。

無事に売れたが、全部で2万ちょっとにしかならなかった。

まあ無いよりはましである。

今年最後の面接

そんな中今年最後になるであろう面接が決まった。

渋谷の会社で、私のいま所属している会社とは駅を挟んで反対側にある。

平日の午前中が面接だったので、会社には午前休をもらってスーツを着て家を出た。

午後からは会社なので着替えと靴を持っていかなくてはならず、結構というか荷物がかなり重い。

渋谷駅の地下街でコインロッカーを捜し、そこに荷物を入れて円山町の面接先へ行った。

まず総務の女性との面接を行い、その後に社長面接である。

証券会社向けの検索エンジンを作っているようで、会社の調子はかなり良さそうな雰囲気であった。

女性、社長ともに笑顔が多い気がした。

仮に入社するとすれば、私はそのフロントエンドの部分でHTMLやJSなどを使うことになりそうである。

10時から始まった面接は11時過ぎで終了した。

手ごたえは良かった気がするが、そもそもそう感じさせるような人当たりのいい社長なのでどうなるかはわからない。

コインロッカーから一旦荷物を出して、漫画喫茶に行き着替える。

そしてまたコインロッカーに着替えを入れてから会社に行った。
これで受からなかったらロッカー代が無駄になるなと思い、わびしい気持ちになった。

受かったが

2日後くらいに面接の結果が来た。

結果は合格である。

さらに年収が上がるという結果、だがしかし。

この会社は給与に占めるボーナスが多いため、月給が下がるという結果に。

どうしようか。

逆転

「年収が上がるのはありがたいのですが、月の給与が下がるのが家庭もあるため非常に厳しいです。少し考えさせてください」

というようなメールを合格メールの返信として出した。

そして、仕事納めの日にメールが返ってきた。

「わかりました、月給を上げさせてもらいますが、その分ボーナスは下がります。もちろん年収は提示したものと同じです」

とのこと。

大逆転である。

家に帰り、妻とも相談し、OKをもらった。

ついに決まった、今年最後の勤務日に決まるとは劇的。

あとは、今の会社を辞めるだけである。

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タワレコにはおじさんばかり

久々に新宿で映画を観て、新宿駅横のFlagsの中にあるタワレコ(タワーレコード)に行ったのだが、おじさんとおばさんしか居なかった。

私は今30代後半なのだが、私と同じくらいかそれ以上の人たちしかいなかった。

私が新宿のタワーレコードに行き始めたのは千駄ヶ谷の河合塾(今はもうない)に行っていた浪人時代のことだった。

その頃のタワレコは私と同じくらいの20代前半くらいからそれ以上までかなり幅広い年齢層がいたように記憶している。

今のタワレコには私より下の世代がほとんど入り込まずにそのままみんな老化した感じである。

たぶん一番若いのはタワレコの店員くらいだった。(お母さんと来ている十代の女の子が少しいたけど)

若者はSpotifyとかAppleMusicとかで音楽を聴いているのだろうか。

CD離れが起きているのは知っていたが、タワレコがおじさんだらけというのはちょっと衝撃だった。

閑散としているのならまだわかる、でもおじさんばかりなのである。

私とそれ以上の年齢の人達しか今のCD市場には残っていないということなのだろうか。

と思ったが、私自身も1年以上CDを買っていない、最近は1年に1枚買うか買わないかというくらいである。
バンバカ買っていたのは10年くらい前までである、結婚したのもあり、今ではCDを買うというよりもヤフオクで時々CDを売っているが、CD離れのせいかヤフオクでもCDはほとんど売れない。

すでにレコードやカセットは嗜好品扱いされているが、CDも同じようになってくのだろう。