勧修寺晴豊が見た本能寺の変『天正十年夏ノ記』

『天正十年夏ノ記』

  • 書名:『天正十年夏ノ記』
  • 著者:岳宏一郎
  • ISBN:978-4062646642
  • 刊行日:1999年9月15日
  • 発行:講談社文庫
  • 価格:638円(税別)
  • ページ数:347
  • 形態:文庫

本書は渋谷のブックオフの100円コーナーで見つけた、『天正十年夏ノ記』という名前のごとく本作のクライマックスは「本能寺の変」であり、本作も数ある本能寺モノのひとつであると言える。(本能寺の変は天正十年[1982年]の夏の出来事)

著者の岳宏一郎(たけこういちろう)は初めて見る名前だったが、他にも戦国モノの小説を書いているらしい。

本作は天皇の秘書官である勧修寺晴豊(かじゅうじはれとよ)を主人公に据え、晴豊たち京都の朝廷と織田信長のやりとりを描いたものである。

本書では、本能寺の変の主犯格の明智光秀の信長殺害の動機は、「信長から与えられたものを、信長から取り上げられたこと」であり、光秀はそれに「耐えられなかったから」としている。

また、光秀の挙兵の情報を掴んでいたかもしれない京都所司代の村井貞勝は信長陣営の人間でありながら心情的には朝廷寄りだったため、その挙兵の情報を信長に伝えなかったのではないか?という推測も本書の中ではされている。

本作の中で信長は冷血な暴君として描かれており、本能寺の変前夜の京都には信長は殺されても仕方がないという雰囲気が流れていたように書かれている。

勧修寺晴豊の妹であり東宮夫人の晴子が主要登場人物だった同じく本能寺の変を扱った安部龍太郎の『信長燃ゆ』と同じような背景を持った主人公(本作は勧修寺晴豊、『信長燃ゆ』は近衛前久)のお話であるが、勧修寺晴豊の残した「日記」(おそらく晴豊公記)を下敷きにしているせいかストーリーは淡々と進んでいく。

大きな驚きや手に汗握るような展開はないが、安心して読める本能寺モノ歴史小説と言えよう。

なんとなくしっくり来る仮説『空白の桶狭間』

空白の桶狭間

  • 書名:『空白の桶狭間』
  • 著者:加藤廣
  • ISBN:978-4101330525
  • 刊行日:2011年10月1日
  • 発行:新潮文庫
  • 価格:476円(税別)
  • ページ数:319
  • 形態:文庫

信長に関連する謎の中で一番有名なものは「本能寺の変」であろうが、本作の題材になっている「桶狭間の戦い」も信長の謎の中でかなり大きなものである。

大軍を擁しているはずの今川義元が何故簡単に首を取られてしまったのか?そもそも織田信長は奇襲をしたのか?奇襲をしたとしても大軍に気づかれずに今川義元の本陣に近づけたのは何故か?など。

また信長が出陣前に敦盛を舞ったり、わずかな手勢のみを率いて信長が城を飛び出したり、熱田神宮で戦勝祈願をしたり、さらに油断している義元を豪雨の中で討ち取ったり、そのイメージがとても鮮烈で、すごく映像的で、つまりなんつーか神話チックというか、だから桶狭間の戦いのディティールは全て作り話っぽい感じがムンムンしてくるのだ。

で、その疑問にひとつの答えを与えてくれるのが本書である。

ずばり桶狭間の戦いの今川義元への奇襲の絵を描いたのは羽柴秀吉(木下藤吉郎)であり、さらに秀吉は「山の民」出身でその山の民たちを使って義元をだまし討ちしたというのが本書の主張である。

うん、面白い。

山の民と出てくると隆慶一郎を思い出してしまう、まあ秀吉が山の民だったかどうかというのは置いておいて、信長が義元に降伏するという偽の情報を使って義元を騙して桶狭間に誘導するというのはちょっと興奮する説である。

そうか、たしかに、信長が降伏するって言ってきたら義元側は信じるよね、大軍を引き連れているのだから、信長は俺のこと怖いんだガハハ、って思っちゃうよね。

秀吉が桶狭間の戦いの褒美として信長に

  • 天皇を尊崇すること
  • サルと呼ばないで欲しいこと
  • 市を嫁にほしいこと

の3つのお願いをするのだが、それはほとんど守られずに同著者の『信長の棺』の伏線になっていて、さらにそれはその続編『秀吉の枷』の伏線にもなっているようだ。

『信長の棺』は以前読んでいるが、『秀吉の枷』はまだ未読なので今から楽しみである。

ジョン万次郎だけじゃない、江戸時代の漂流記『海神 孫太郎漂流記』

海神(わだつみ)

  • 書名: 『海神(わだつみ) 孫太郎漂流記』
  • 著者: 安部龍太郎
  • ISBN: 978-4087474640
  • 刊行日: 2002年7月25日
  • 発行: 集英社文庫
  • 価格: 686円(税別)
  • ページ数: 389
  • 形態: 文庫

江戸時代、南国の島に漂着した孫太郎たちの苦難の旅をつづった冒険時代小説。安部龍太郎は戦国時代のものしか書かないと思っていたので本作のような江戸時代の海を舞台にした冒険小説を書いていたのは意外だった。

仙台沖で主人公・孫太郎の乗る伊勢丸が遭難し漂流する第一部、南洋の島に漂着し地元民達の奴隷になりかけて脱出するのが第二部、そして実際に奴隷になってしまう第三部、奴隷の身から解放される第四部、バンジャルマシンでの自警団として活躍する第五部、本書は400ページ以下の構成であるがストーリー自体は上記のようにかなりボリュームがある。

色々なエピソードをそぎ落としてシェイプアップした結果、400ページ弱の内容になったのであろうが、1冊400ページの文庫3冊分くらいで孫太郎の活躍をもっと読みたかった。

物語の終わりには筆者による追記があり、その追記は物語には続きがありますよ~という含みに読めるのだが、本書の続編は出ているのだろうか。

孫太郎の漂流は実話だったようで、孫太郎の漂流のお話をまとめた『南海紀聞』という資料があるようである。Amazonで検索してみると雄松堂出版より『南海紀聞 (海外渡航記叢書 (4))』という英語の本が出てきた、1991年に出版で中古価格が3,852円(2016年2月3日時点)・・・、この値段じゃ買えない。

雄松堂出版からは海外渡航記叢書というシリーズが出ていたようであり、ジョン万次郎や大黒屋光太夫などの漂流記なども出ているが5巻で終わってしまっている、残念。

書影を見るとタイトルが英語というかアルファベット表記になっており、英語で書かれているような気もするのだが、中身は英語と日本語どちらなのだろうか。

このシリーズは再度出したら結構売れるんじゃないだろうか?名前が硬いから「ザ・シリーズ日本の漂流」に変えよう、「ザ」がすごく古めかしいのでこれからなんかいい名前を考えるとして。

「プロジェクト・漂流」でどうか、漂流はプロジェクトじゃないか。というかプロジェクトなんちゃらなんつーのも古めかしいからもっといいのを考えなきゃいけない。

さらにこの叢書を出していた雄松堂出版は丸善に吸収されて丸善雄松堂株式会社になったようだ、というかそれ一昨日のことじゃん(2016年2月1日に吸収合併されたらしい)。

この合併を機会に海外渡航記叢書を再度出してみませんかね、丸善雄松堂さん、どうかな。

登場人物の名前を覚えることからはじめよう 『ダーウィンの子供たち(上・下)』

ダーウィンの子供たち

  • 書名:『ダーウィンの子供たち(上・下)』
  • 原題:Darwin’s Children
  • 著者:グレッグ・ベア(Greg Bear)
  • ISBN:978-4863322752(上)、978-4863322769(下)
  • 刊行日:2010年9月18日
  • 発行:ヴィレッジブックス
  • 価格:上下ともに880円(税別)
  • ページ数:409(上)、399(下)
  • 形態:文庫

本書を購入したのは5年ほど前のことだと思う、買ってから今までずーっと我が家の本棚のSFコーナーに鎮座していたが、遂に読むこととなった。本には賞味期限みたいなものがある、で、その賞味期限は発売や刊行された日付とは関係なく、本屋でその本を購入した日から賞味期限のタイマーがカチカチと回り始めるのだ。

大体買った日より1週間程度でかなり鮮度が落ち、1ヶ月も経つと干物になる。で、干物でも味が出ればいいが、鮮度が命の本なんかだと干物になっちまったらもうおしまいみたいなことがある。

本書をずーっと本棚で干物にしていた理由は、パッケージの印象の薄さと題名である。

「ダーウィンの子供たち」か、ふーん、ダーウィンということは進化論で、子供たちが何らかの進化・変化をしてそれが大人たちにとって大変な脅威になる、というような話であろうな、著者のグレッグ・ベアは『ブラッド・ミュージック』っていう遺伝子操作により知的生命体が人類の身体の中に宿る話を書いているのでそれと似てるんだろうな、と思ったのだ私は。

で、読んでみてその予想はあまり外れなかった。

気になったのが、登場人物たちの名前である。ステラとミッチとケイという3人家族が本作の主要人物なのであるが、誰が母で、誰が父で、誰が娘か、名前からわかるだろうか。

最初私は全員女性の名前ではないかと思った、正解は母はケイ、父がミッチ、ステラが娘である。

まあ言われればそうだという気になるし、何がどうしたと言う風に感じるかもしれないが、そこはかとない違和感を感じたのだ私は。

それ以外の登場人物も身体的な特徴や性別から受ける印象と名前が一致しなかった、頻繁に登場するウィルスハンターのクリストファー・ディケンはインディ・ジョーンズみたいなカッコいいおじさんを想像したが、なんでディケンか、なんで「ン」で終わるか。

唯一、ミセス・カーラ・ラインという女性だけはなんとなく名前の印象と物語内での描写に齟齬が少ないと思ったが、呼び方が「カーラ」だったり「ライン」だったりするので、誰だかわからなくなる、って物語内で登場人物が他の人物に呼びかけるのに苗字や名前を使い分けるのはしょうがないし、呼び方を変えるのは物語を語る上でのアクセントになったりもするし・・・

苗字・名前問題というのは翻訳モノであろうが、国内モノであろうが常について回る問題である。

織田信長が出てくる戦国小説では、彼のことを「織田」とは言わない、織田と言ってもどの織田だ?信長?それとも父の信秀?いや子供の信雄、信孝?となってしまう。

だが、明智光秀だと、「明智」と呼び捨てにしてもあまり差し支えはない、なぜなら明智性の有名人があまりいないのでおそらく光秀のことであろうと読んでる人は思ってくれる(はず)。もちろん江戸川乱歩の小説になると意味が違ってくるってどうでもいいか。

たとえばドラえもんに出てくる野比のび太。彼を仮にAとする。

Aは作中ではお母さんやドラえもんには「のび太」と呼ばれ、先生からは「野比!」と言われる。この場合、A以外の登場人物はどちらも違う音でAのことを呼んでいるのであり、よくわからない人がその2つのシーンを見たら、「のび太」と「野比」は違う人間のことを指していると思うかもしれないが、どちらも同じAを指して呼んでいるのである。

読者はAの苗字+名前が「野比のび太」であることがわかっているので、Aが名前で呼ばれても苗字で呼ばれてもAが呼ばれているということがわかるのである。

で、読者に登場人物の苗字+名前を知らせるにはAは「野比のび太」でありますよとどこかで説明しなければいけないのだが、これは1回くらい説明したところでは誰も覚えなくて、ことあるごとにAは「野比のび太」だよと教えておかなければならない。

たとえば主題歌に苗字+名前を入れて、「そーらを自由に飛びたいな!はーい野比のび太君にタケコプター!」とか。

「野比のび太」に選挙活動をさせて「野比のび太、野比のび太に清き一票を!」と連呼させたり。

毎回、のび太にケガをさせ、病院の待合室で「野比のび太さん、どうぞ」と言われるように仕向けたり。

主人公が毎回テストで0点を取り、テスト用紙の名前欄に「野比のび太」と入っているシーンが冒頭に流れる、ってこれはドラえもんでよくあるシーンか。

まあ、作者は手を変え品を変え、読者に登場人物の名前を覚えさせないといけないのである、これが何の説明もないと、野比ってだれ?のび太って?そんな面白い名前のやついるわけないじゃん、みたいな風に思われるのが関の山なのである。

話は本書に戻るが、その苗字+名前で登場人物を説明することが本書には少ないように感じるのである。

その音を耳にすると、ディケンはおもむろに銃を手に取り銃口を覗き込んだが、いきなり咳き込んで彼の肛門からおならが出た

という描写が本書599ページにあるのだが、ディケンって誰だっけ?となってしまう。

その音を耳にすると、クリストファー・ディケンはおもむろに銃を手に取り銃口を覗き込んだが、いきなり咳き込んで彼の肛門からおならが出た

という風にすればいいのである、たった8文字「クリストファー・」と入れてくれればいいだけなのだ。

みたいなことをずっと考えてしまい読書に集中できなかった、登場人物のフルネームは結構頻繁に出してくれていいと思うのだ、20ページに1回くらいは出していいはずなのだ。海外翻訳ものの小説には最初の方のページやカバーの折り返しに登場人物表があるが、あれも役に立つ時もあれば立たない時もあり、今回は役に立たなかった、というか小説を読んでいる時にたびたび前のページに戻って名前確認なんて読むテンポが悪くなっちまうのだ。

あとから知ったのだが、本書は『ダーウィンの使者』という物語の続編だったようだ、だから登場人物が誰なのかわかりにくかったのか・・・

SF作品としては、同じ著者の『ブラッド・ミュージック』と比べちゃうとかわいそうに感じるが、まあそんなに悪くないよ、という感じだった。

電子書籍版を購入して、OCR(画像内の文字をテキストデータに変換する技術)にかけて、さらに人物名をフルネームに全置換してから読みたかった。

インフルエンザの予防接種はワナがいっぱい、早く連絡よこしなさい

注射

昨年の10月頃よりずっとやろうやろうと思っていて、年が明けてしまった。インフルエンザの予防接種である。

ここ数年は会社のある渋谷で予防接種を受けているのだが、去年の初めに転職をして会社が変わったので(同じ渋谷だけど)、健康保険の組合が変わった。

で、今回の組合では指定の医療機関だと予防接種代が1,500円引きになるとのことである。

なので、今まで行っていた病院とは違うところに行くことにしたのだが、その病院に電話してみるとなんと今年度のインフルエンザの予防接種は終わったとのことで、受けられなかった。

1月になってインフルエンザの予防接種受けるのは遅いよね、と言われてるみたいな気がしたがほかに受けられるところがないか調べてみたらちょうどいいのがあったので会社の帰りに行って来た。

3,500円の予防接種代が1,500円引きで2,000円となった。よかった。

で、家に帰ってきてネットで「インフルエンザ 予防接種 価格」で検索してみるとこんなページがヒットした。

東京都のインフルエンザの予防接種の平均価格は3,500円ほど、つまり私は平均価格で予防接種を受けたわけである。

ああ、よかった。と思ったのだが、そういえば前の会社にいた時は会社の最寄りの病院に行っていたのだが、そこは5,000円くらい取られていた気がする。

多分だけど前の会社の健康保険の組合でも割引チケットみたいのがあって、その最寄りの病院でも割引きで予防接種が受けられたはず、知らないって恐ろしい。

とのことだったのだが、翌日組合のホームページを見てみると昨日行った病院のインフルエンザの予防接種代が3,080円となっていた・・・

1,580円で予防接種が受けられたんじゃない!と思って昨日行った病院に電話してみると、よくわからないので保険組合に問い合わせて調べてから再度私に電話するとのこと。

で、電話はまだ来ない。ぜんぜん来ない、これは払う気無いな、来週の昼休みにでも直接行って払い戻してもらおうと思っているのだが、500円でそこまでするのも・・・いやなんか悔しい、つーかこっちは100円とか200円のお金でひいこら言っている身なのだ、ふざけんな。

早く連絡よこしなさい。

(結局、病院に直接行ってお金は返してもらえました、ありがとう)

自意識のフレームが変容する瞬間 『午前3時のルースター』

午前3時のルースター

  • 書名:『午前3時のルースター』
  • 著者:垣根涼介
  • ISBN:978-4167656683
  • 刊行日:2003年6月10日
  • 発行:文春文庫
  • 価格:590円(税別)
  • ページ数:360
  • 形態:文庫

垣根涼介の本を初めて読んだのは、義父からもらった『ワイルド・ソウル』だった。

ブラジル移民とその子供達が日本政府に対して誰も死なないテロを仕掛けるという、犯罪モノであった。そのテロが成功するのか、しないのか、手に汗握る犯罪ミステリーだった。

『ワイルド・ソウル』が犯罪を仕掛ける側(謎を仕掛ける側)からの物語だったのに対し、本作は『ワイルド・ソウル』と似たような舞台背景で展開するものの探偵側(ニワカ探偵だが、謎を追い求める側)の視点で物語は進んでいく。

垣根涼介が『君たちに明日はない』か何かのあとがきで、登場人物の世界に対する自意識(価値観)がガラリと変わる瞬間(自意識のフレームが変わる瞬間)がその人物が一番魅力的になる時であり、そのような瞬間を私は小説で描いてきた、というようなことを言っていた。

本作でもベトナムの地で失踪した父を探す慎一郎、息子から探されることになる父、その2人の自意識のフレームが変わる瞬間が描かれる。

私の人生にも自意識のフレームが変わる瞬間というのがあったろうか、うーん。

中学校に入ったとき?大学に入ったとき?いや違うか、結婚した時?

で考えてみて思い当たるのが・・・ない。

特に無い。

多分、垣根涼介の言う自意識のフレームが変わる瞬間というのはその人物が予想もできないような事件や事故や物事にぶち当たった時に訪れるのかもしれない。

私の人生には残念ながらそういう大きな不幸や大きな事件みたいなものはなかった、予想外の展開というやつだ。

父親が死んだ時はいきなりだったのでそれは人生における大きな事件だった。そうか、でもそれで何が変わったろうか。母と父は別居していて私は母と一緒に住んでいたので生活はあまり変わらなかったし、うーん。

あ、あった。小学校5年か6年の時に友人から「お前結構みんなに嫌われてるよ」と言われたことがある、あれはショックだった、私の信頼していたというか、無条件に信じていた都合のよい世界に対する認識みたいなものが崩れ去った瞬間だった。

たぶんアレが、私の少年時代が終わり、プレ青年時代に突入した瞬間だったのかもしれない。

今私は35歳だがそのプレ青年時代はまだ終わっていない、ような気がする。

Nexus 5Xが欲しいけど14(完)「格安SIMに乗り換え完了、Nexus 5をしばらく使う予定」

Nexus 5

Y!mobile(旧EMOBILE)で割賦購入したNexus 5をNexus 5Xに機種変更しようと考え色々調べたが、結局機種変はせずにキャリアをY!mobileから格安SIMに乗り換えるだけにした。

そして、格安SIMキャリアのmineo(ミネオではなくマイネオ)に申し込みをしたのが前回までの話。

mineoの格安SIMが届く

mineoのエントリーパックを使って格安SIMを申し込んだのが2016年1月6日だった、そしてSIMカードは2016年1月10日に届いた。

10日程度かかるかと思っていたが、4日で届いた。mineoのサイトにも10日程度かかりますのでよろしくね、と書かれていたので拍子抜けである。

nano SIM変換アダプタを使ってNexus 5にnano SIMを入れる

で、私はmineoで下記のプランを申し込んだ。

■Dプラン デュアルタイプ パケット制限(1GB)(\1,620[税込]/回線・月)
 ・端末同時購入:しない
 ・SIMカード:nanoSIM
 ・本人確認方法:画像アップロード
 ・ユニバーサルサービス料(\2[税込]/月)

Nexus 5はmicro SIMだが、今後私はnano SIM対応の端末に変える可能性もあり、nano SIMならmicro SIMにも変換アダプタで対応可能なのでnano SIMにした次第である。micro SIMをnano SIMに変えるのは大変そうなので。

ヨドバシカメラで600円くらいのnano→micro SIM変換アダプタを購入した。この変換アダプタにはSIMカード交換用の針みたいなの(名前なんていうのか、SIMの穴に挿して押すとSIMスロットがニョロっと出てくるのに使うアレ)もついてきた。

mineoから届いたSIMカードにはその交換用の「アレ」は入っていなかったので、買っておいてよかった。

で、micro SIMへの変換アダプタにmineoのnano SIMを載せて、ガッチャンコとNexus 5に挿入した。

それから、mineoのマイページから「MNP転入切替/回線切替手続き」をすると1時間ほどでY!mobileからmineoへ変更ができた。

乗り換えはWebで簡単だけど、何個か注意

で、この「MNP転入切替/回線切替手続き」だがちょっと注意しなくてはいけないことがある。

ひとつはWebでの手続き時間が9時~21時と言うことである。これは切り替えが9時から21時の間に行われるだけで、申し込み手続きは24時間対応ということではない。

この手続きページは9時から21時までの間しか使えないのである、だから手続き自体を9時~21時までの間に済まさなくてはいけない。深夜に手続きして次の日の朝9時に切り替わるみたいなことはできない。

だから仕事などでその時間に作業できない人は、仕事中にサボってmineoのページで切り替え作業をしなくてはならないのだ、手続き自体は一瞬(1分かからない)で終わるので、手続きをして1時間ほど待てばいいだけなのだが。

なお20時~21時の間に手続きをすると、切り替わるのは翌朝の9時以降になるようだ。

あと、キャリア乗り換えで問題になるというかやってから気づくのがLINEの引継ぎである、これはLINEアプリにID・パスワードを設定して使っていれば大きな問題はないようだが、まあ詳しくはLINEのページを見てみればいろいろ書いてある。

mineoの方がY!mobileより速い?

Y!mobileのSIMカードで、外出先でNexus 5を使った場合の速度とmineoでの場合の速度は、私の感じではY!mobileが特急なら、mineoは快速くらいである。

まあ遅くはない、でも速くもないと言ったところ。

Y!mobileの下り最大速度が112.5Mbpsでmineoが225Mbpsなので、mineoの方が速いようなのだが、実際にはそうではないと思ってNexus 5の設定を見てみたらmineoの設定が3G優先になっていた・・・

私は3G回線で使っていたようである、LTE優先に変更したところ速度はY!mobileと同じくらいになった、下り速度の公称はmineoの方が速いのでたぶんmineoのほうが速い、Y!mobileより。

Nexus 5Xにしなかった理由

Nexus 5の端末代金の支払いが終わり、さらに支払いが終わるのにも関わらず月額料金がほとんど変わらないので、機種変したほうが得だと思ったのもありNexus 5Xに機種変更する道を探したが結局機種変をせずにNexus 5のままキャリア乗り換えだけをした。

理由は何個かある。

ひとつはNexus 5Xがあまり魅力的ではなかったということ、Nexus 5の発売から2年経って出たのにも関わらずフラッグシップスマホとは呼べないスペック、でさらに2年前よりも高い・・・

これじゃあ買う気にならない。

もうひとつは、Y!mobileの誠意。2年前にNexus 5に変えた時は「3大キャリアを倒す!」みたいな熱意が感じられたが、自分のとこのNexus 5ユーザーを引き止める気もあまりない様子。

これではやっぱりY!mobileを続けつつNexus 5Xに変えるなんて考えにくい。

さらにもうひとつはY!mobileの月額料金、端末代を引いたら格安SIM並みの価格になるはずなのだが、そうならない、なんじゃそりゃ。

Nexus 5Xに魅力があまり無いのにY!mobileと高い契約を続ける意味が無い、だから格安SIMに乗り換えることになったんである。

課題 Androidの最新版を使う予定

で、Nexus 5X以外のよさげなスマホを探している時に一番の障壁、つまり自分の選ぶ基準で一番大事だと気づいた部分、それはAndroidのバージョンである。

あ、これよさそう!と思ってもAndroid4.4とか5.1とか書いてあるのである、機体はいいのに旧バージョンのOSかよ・・・と思ってしまう。

最新のOSを使ったことがないのであれば、そんなこと気にならないがNexus 5を使っているっつーことは最新のAndroid OSを使っているということであり、つまりそれ以下のバージョンはくすんで見えてしまうのである(実際大きな差はないんだけども)。

なので、次に買うAndroidスマホには自分で最新のOSを手動で入れる予定である。

しばらくの間、私のたわごとばかりの連載にお付き合いくださり、ありがとうございました。

ではまた。

連載終了 「NEXUS 5Xが欲しいけど」バックナンバー

  1. 「理想と現実」
  2. 「Nexus 5のままでいいのか?」
  3. 「Nexus 5、Nexus 6、Nexus 5X、Nexus 6Pのスペック比較してみた」
  4. 「Android6.0は何が変わった?フォントだよ!」
  5. 「Y!mobileでの月額料金が決定・・・」
  6. 「買わないことにした」
  7. 「買わないことにしたけど、欲しくなる」
  8. 「(Nexus 5Xが買えない)Nexus 5ユーザーに送るNexus 5Xとのスペック比較」
  9. 「さよならY!mobile」
  10. 「やっぱりさよならY!mobile」
  11. 「欲しい端末が出てきた?けど」
  12. 「ついにMNP予約番号をって、取れないじゃん・・・」
  13. 「MNP予約番号を取得!そして格安SIMに申し込んだ」
  14. 「格安SIMに乗り換え完了、Nexus 5をしばらく使う予定」
  15. 「Nexus 5の後継機はAcer Liquid Z530に」(番外編)

獄中記はやっぱり面白い 『私はなぜ逮捕され、そこで何を見たか。』

逮捕

  • 書名:『私はなぜ逮捕され、そこで何を見たか。』
  • 著者:島村英紀
  • ISBN:978-4062758673
  • 刊行日:2007年10月16日
  • 発行:講談社文庫
  • ページ数:320
  • 形態:文庫

常々獄中記に外れは無いと思っているが、本書もその例に漏れない。筆者の島村英紀は詐欺罪で北海道地検より逮捕・起訴され、札幌拘置所に拘留されることになる。

制限された状況に人間が入れられる、そうすると神経や考えが研ぎ澄まされるのだ、たぶん。

獄中記にはただただ日々の食べ物の事が書かれてあったり、隣の独房に入っている人の事を想像したり、と拘置所での生活がただただ綴られているだけなのになんで面白いのだろう。

たぶん、拘置所や刑務所は私のように一度も入ったこともない人間にとっては異世界であるのだ、つまりSFなのだ。

この、島村英紀さんは地震学者なので気象庁の観測船に乗ったり、南極に行ったりしている、その極地の生活より、よほど拘置所の方が住み易いと言っているのが興味深い。

詐欺罪に関する部分の説明もあるが、面白いのは獄中の描写。

誰でもいつでも拘置所に拘留される可能性はあるので、読んでおいてソンはない本だ。

※本の中で2006年のサッカーワールドカップに言及している部分があって、そのワールドカップがフランス大会だと言っているのだが、ドイツ大会である。揚げ足取りのようでイヤだが、ちょっと気になった。

文庫に文字が詰まっていた時代 『額田王』

額田王

  • 書名:『額田王』
  • 著者:井上靖
  • 刊行日:1972年10月30日
  • 発行:新潮文庫
  • 価格:440円
  • ページ数:479
  • 形態:文庫

書影を見てもわかるとおり、結構古い文庫である。毎度のごとくブックオフの100円コーナーで購入した。

帯が真っ赤でタイトルは「テレビ朝日系放映」、そして説明文が簡潔に書かれている。かなりシンプルな帯で最近はあまり見ないタイプだ。

今風の帯にするならテレビ朝日で何日の何時からスタートなのか、主演は誰だとか、そのテレビドラマの写真とかも丸く切り取って載せることだろう。

でもこの帯は青っぽい本の表紙に真っ赤な帯で鮮烈、キレイである。帯に隠れている表紙の絵も物語世界を忠実に表しているように見えてカナリ良い。

1972年に出て440円だったものが、現在ではいくらになっているのだろうか、さらに表紙もアニメっぽくなっているのだろうなと思ってAmazonで検索してみると今出ている版もなんと同じ表紙であった。

やっぱ表紙のセンスがいいから、変える気しないんだろうな。

しかし価格が907円になっていた・・・当時が440円だから倍の値段である。

さらにページ数も522ページと当時の479ページから43ページも増えている。ページが増えているということはエピソードが追加されているのかと思ったが違うということに気づいた。

おそらくだが、文字の大きさが現在の版のほうが大きいのである。だからその分ページ数が増えているのだ。

昔の文庫を読んでから最近の文庫を読むと字の大きさの違いに驚くことが多い、たぶん今の文庫の文字の大きさは当時の『額田王』の倍くらいの大きさである。

昔の小さな文字サイズのほうが今の文庫本よりもぎゅっとお話が凝縮されているような気がする。文字が大きすぎるとなんだかお話も間延びしてしまうように感じる。

本書は2人の天皇に愛された歌人額田王の生きた時代を描いた歴史小説。井上靖の硬質というか淡々というか何というかなんだろう、笑いの少ない、いやスキの少ない、なんつーかうーん、うまい表現が見つからない、あ、文章がうまいんだ、って文豪に失礼か。

とにかく、結構面白かった、表紙を一新して新版で再度発売したら、この表紙版の古書価はあがるだろうなって、死ぬほど流通しているだろうからそんなことないか。

Nexus 5Xが欲しいけど13「MNP予約番号を取得!そして格安SIMに申し込んだ」

mineoのキャンペーンカードはペラペラだけど、これで手数料がタダになる

現在所有しているNexus 5をNexus 5Xに機種変できないかを模索していたが、結局キャリアをY!mobileから格安SIMに乗り換えることで月額の支払いを安くしてお茶を濁すことにした。

で、電話でMNP予約番号を取得しようとしたら時間外でできなかったので、翌日に職場の近くのY!mobileショップに行ってきた。

遂にMNP予約番号を取得

Y!mobileの店は人気がないからなのか、待たずにすぐにMNP予約番号が取得できた。

次のキャリアはお決まりですか?と販売員に聞かれたので、ネットで申し込む格安SIMにする予定ですと答えた。

彼らもY!mobileの値段が格安SIMには勝てないのは知っているのでそれ以上しつこくは聞いてこなかったが、Y!mobileでSpray 402LGに機種変すると月額が2,980円になりますけどと一応営業をしてきた。

ただ後で調べてみるとこのSpray 402LGはNexus 5の廉価版のような感じ、つまりNexus 5がガンダムならSprayはジム、ガンダムからジムに乗り換える人なんているのか?

つーかNexus 5を2万くらいで下取りした上で月額3,980円くらいでNexus 5Xに機種変できたらMNP予約番号なんて取らなかったのにと思ったがもう遅い。

10分くらいでMNP予約番号を取得した、MNP予約番号というくらいなので、この状態ではまだ解約はされておらず、この予約番号を使って他キャリアで新規契約をした時点で解約となる。

結構いいシステムだとは思うけど、そんなんで手数料取らないで欲しい。

mineoに申し込みしようとしたら

家に帰り、すぐにmineoのホームページより申し込みをしようとしたところ、mineoエントリーパックというのがあって、それに入っているコードを入力するとキャリア(この場合はmineo)への契約事務手数料の3,240円がタダになるということが書かれていた。

そんなの知らんぞ、と思って調べるとAmazonで972円で売っていた。つまりこれを買うと差額の約2,000円分手数料が安くなるということである。

敵もよく考えるな、すぐにお急ぎ便で注文して次の日の夜にこのmineoエントリーパックを手に入れた。

Amazonの箱を開けるとペラペラの紙(冒頭の写真参照)が入っていた、ちょっと気の利いたチラシよりも格が落ちるがプリントパックでは印刷できないレベル、一応専門の印刷業者が刷ったチラシだろう。

原価はおそらく5円くらいか、中国で10万枚くらい刷ればせいぜい10万円というところか、なので原価は1円くらいかもしれない。

これをほぼタダでAmazonに卸して、というかタダでAmazonに置いてもらって売れたら何パーセントかがAmazonに入るのだろう。

大体972円の30%というところか、だからAmazonはこの紙が売れるだけで300円くらいは儲かり、お急ぎ便だと送料も儲かるという仕組みか。

このエントリーパックを買うお客さんはほぼmineoに入るのを決めているお客さん、で、そのお客さんはmineoに入るのを止めてもお客さんが972円損するだけ、うーんうまい。

mineoは10万くらいの投資で、見込み客に金を払わせて、さらにその客を囲い込むという巧妙な戦法を取っているのだ、ってちょっと脱線した。

つまりその作戦に乗っかって私もエントリーパックを買ったわけである。

でも、このペラペラのエントリーパックのどこにも契約事務手数料がタダになるとは書いていない、Amazonの購入ページには書いてあるので大丈夫だとは思うが、このエントリーパックに何も書かないことによって色んなキャンペーンを展開できるということなのだろう。

契約事務手数料タダのキャンペーンが、次の日にSIMカード2枚あげますキャンペーンになっても、端末タダであげますキャンペーンになっても大丈夫なのだ。

うーん、うまい、っつーかキャンペーンの内容くらい書けよ。

mineoに申し込み完了

エントリーパックに入っているコード、MNP予約番号、クレジットカードの情報を入力し、本人確認書類の画像をアップロードしてmineoへの申し込みは完了した。

mineoでの契約プランは下記の通り。

Dプラン デュアルタイプ パケット制限(1GB)(\1,620[税込]/回線・月) ・SIMカード:nanoSIM ・ユニバーサルサービス料(\2[税込]/月)

Nexus 5はmicro SIMだが、今後スマホを買い換えることを考えるとnano SIMのほうがいいと思ったのでnanoを選択した。

nano→micro変換アダプタが数百円で買えるのでそれを使う予定だ。

あとはmineoのSIMカードが届くのを待つばかり。

10日くらいかかると書いてあったので、それまで静かに待とう。

連載終了 「NEXUS 5Xが欲しいけど」バックナンバー

  1. 「理想と現実」
  2. 「Nexus 5のままでいいのか?」
  3. 「Nexus 5、Nexus 6、Nexus 5X、Nexus 6Pのスペック比較してみた」
  4. 「Android6.0は何が変わった?フォントだよ!」
  5. 「Y!mobileでの月額料金が決定・・・」
  6. 「買わないことにした」
  7. 「買わないことにしたけど、欲しくなる」
  8. 「(Nexus 5Xが買えない)Nexus 5ユーザーに送るNexus 5Xとのスペック比較」
  9. 「さよならY!mobile」
  10. 「やっぱりさよならY!mobile」
  11. 「欲しい端末が出てきた?けど」
  12. 「ついにMNP予約番号をって、取れないじゃん・・・」
  13. 「MNP予約番号を取得!そして格安SIMに申し込んだ」
  14. 「格安SIMに乗り換え完了、Nexus 5をしばらく使う予定」
  15. 「Nexus 5の後継機はAcer Liquid Z530に」(番外編)