ヤフオクで本が売れた! 佐内正史『massage』

message 佐内正史

  • 書名:『message』
  • 写真:佐内正史
  • ISBN: 978-4582277463
  • 刊行日:2001年4月
  • 価格:新品で5,000円(ぐらい)
  • 発行:平凡社
  • ページ数:-
  • 形態:写真集

ヤフオクで本が売れないと以前書いたがやっとヤフオクで本が売れた。

売れたのはこの『message』と『定本 久生十蘭全集』だ。

『message』は12月に出品して、売れるまで2か月ほどかかった。

1週間出品しては、売れずに再出品を繰り返していたので、売れた時には気づかなかったほどだった。

当初は5,000円ほどで売ろうと目論んでいたが結局落札価格は3,000円。

久生十蘭の方も購入価格12万のところ、落札価格は8万円。

こちらは早く売りたかったのだが、ライバルが出していたので、それよりも安い価格で出せば早く売れると見込んだところ、その通りすぐに現金となった。

『message』の方は思い入れも大きくはないのだが、久生十蘭は何年もかけて集めたものだけになんというか魂を売り渡してしまったような気持ちになったが、読まない本なので魂などと言っては読んでいる人に失礼だろう。

おそらく私の魂がこもっているのは現代教養文庫版の久生十蘭傑作選の方だ、こちらは値段が高くはならないはずなのでヤフオクに出品するという誘惑に駆られることもなく天命を全うすることであろう。

結局大切なものでも使わない高いものは現金にしてしまった方がいい。

はず。

と思っている今日この頃なのだ。

さ迷える34歳-転職大変記 一応完結

おくうたま 岩井三四二

  • 書名:『おくうたま』
  • 写真:岩井三四二
  • ISBN: 978-4334765996
  • 刊行日:2013年7月10日
  • 価格:781円(税抜)
  • 発行:光文社文庫
  • ページ数:469
  • 形態:文庫

去年の終わりに転職がやっと決まり2月の始めに7年務めた会社を辞め、次の日に新しい会社に入社した。

新しい職場になって2週間経ったが、電話サポート応対や出荷業務などに追われず、自分のデザインと開発の仕事に打ち込める環境でとても気持ちよく仕事ができている。

会社の会議にも参加したが、前の会社よりも意見が飛び交いみんな笑顔。

当たり前だが会社が替われば、環境も替わるし仕事の内容も進め方も違うものになる、だから気持ちも変わる。

今のいい気持ちがどれくらい長く続くのかはわからないが、いい気持ちで仕事を進めていかなくてはならないと強くまじめに思う今日この頃なのだ。

転職活動は長かった、でも転職してしまうとその時の記憶や気持ちも遠い彼方に行ってしまう、ずっと転職活動している時の気持ちを引きずっていてもしょうがないが、転職先の決まらない不安感やいらだちの記憶は忘れない方がいいはずだ。

本書は織田信長に攻め落とされそうになっている浅井家の小谷城から浅井長政の庶子である喜十郎が逃れ、京都の瑞石という医師(くすし)のもとに匿われることから話が始まる。

浅井家の復興を目指しながら、瑞石と共に患者を求めて戦場に赴く喜十郎。

浅井家の復興は果たしてできるのであろうか?という流れのお話である。

ラストは、やはりなという展開でベタだなと思いながらも少し目頭が熱くなってしまった。

運命に翻弄されつつも自分の運命を切りひらいていく、と書くとあまりにもベタな表現だが、転職活動で色々な会社の思惑に翻弄されていた私がやっと転職を決めたという事情とも重なり感慨深い読書であったのだ。

ヤフオクで久生十蘭全集は売れないのか、やっぱり。 『定本 久生十蘭全集』

定本 久生十蘭 全集 国書刊行会

  • 書名:『定本 久生十蘭全集(全12巻)』
  • 著者:久生十蘭
  • ISBN: -
  • 刊行日:2008年-
  • 価格:1~7巻:9,500円(税別)、8~11・別巻10,000円円(税別)
  • 発行:国書刊行会
  • ページ数:-
  • 形態:-

お金不足により手も足も出ないので、ヤフオクで使わない物いらない物を2014年の末から売っている。

一眼レフカメラ、電子書籍リーダー、映像編集ソフト、ゲームソフト、マンガなどは出品すればすぐに売れた。

だが、文字だけの本が売れない、売れないったら売れない。

一番高く売れると踏んでいたのだが、全く売れない。

ホントに売れない。

出品しているのはちくま文庫の千夜一夜物語の全集、そして国書刊行会から出た久生十蘭の全集(12巻)である。

千夜一夜物語は1万円行けばいいかというところだが、久生十蘭の全集は1冊が定価10,000円近くになり、それが12冊あるので中古とはいえ100,000円近くで売れてほしいと思っていた。

でも売れないのだ。

久生十蘭を初めて読んだのは大学時代のことだ、現代教養文庫から出ていた久生十蘭傑作選を大学の図書館で読んではまったのである。

それから久生十蘭傑作選をすべて集め、朝日文庫のものも全て買ったのだが、まだまだ物足りない。

数年前に十蘭の全集が出るというので、吉祥寺のパルコブックセンターで予約をした。配本は半年に一回くらいで、毎回楽しみに買っていたのである。

とは言うものの全集は大きくて重たくて高価なので、手軽に持ち歩いて電車の中で読んだりはできない。

私の読書タイムはほとんどが電車の中なので、読むのは文庫本ばかりである。

そんな私が十蘭の全集を集めても全く読まないのはわかっていたのだが、いつか読むかもしれないし、十蘭の全集を持っているという満足感に浸りたいためだけに全て買い集めてしまったのである。

でもしかしである、金欠病になってしまった私には十蘭の全集を持っていることから得られる心の満足感よりも、コンビニに入って食べたいお菓子が買えるというお腹の満腹感の方が大事なのであった。

出品して、落札されて10万円手に入れて幸せになる図を想像していたのだが、売れないんだ。

なんでだ。

だれか買って!

(結局売れました、詳細はこちら↓)

ヤフオクで本が売れた! 佐内正史「massage」

ヤフオクで千夜一夜物語は売れるのか? 『バートン版 千夜一夜物語』

バートン版 千夜一夜物語(全11巻)

  • 書名:『バートン版 千夜一夜物語(全11巻)』
  • 訳者:大場正史
  • 挿絵:古沢岩美
  • ISBN: -
  • 刊行日:2003年-
  • 価格:-円(税別)
  • 発行:ちくま文庫
  • ページ数:-
  • 形態:文庫

ずっと職探しをしていたが、遂に次の仕事が決まった。

2014年は12月26日まで仕事だったのだが、その2014年最後の日のお昼に「採用」のお知らせが来たのである。

実は採用自体はその前の週にもらっていたのだが、給料面で折り合いが合わず断っていたのだ。

理由は、ボーナス額が多すぎるため、月の給料が低いという点である。

ボーナスが多けりゃいいじゃないかと思うが、月の給料が低けりゃ家族を持つ身としては辛いのである。

「ボーナスが多いのは魅力的なのですが、月給が低いので」と断ったのだが、「じゃあボーナス分を月給に還元します、ボーナスは低くなるけど」という回答を12月26日にもらったのである。

面接自体は12月の中ほどに行なっていて、雰囲気やら仕事の内容やらはかなり自分自身の希望と近いものだったので、できれば行きたかった。

だから、ほぼ即決で「行きます!」と答えたかったのだが、一応焦らして、というか冷静になりたかったので「年内考えさせて」と返答した。

会社の大掃除と納会を終えて家に帰って妻に相談した。

「いいのではないか」という答えをもらい、自身でも再度考えて、「行きます!」とメールをしたのが12月の29日だったか。

そして2015年の仕事始めの1月5日、今の会社の上司に「辞めます」と伝えたのである。

上司および社長の反応が「辞めないで!」だったら困るなあと思っていたのだが、反応は案外あっさりしていて「やっぱりな」という顔をしていた。

実際私が辞めると月に50万弱くらい(給与額プラスモロモロのランニングコスト)コストが浮くことになるはずなので、経営が苦しい会社としては痛いと同時にうれしくもあるのだろう。

社長は、私が辞めることに対して「気持ち的には半々です」と言っていた。

なんとか次の仕事は見つかったが、年末年始の忘年会やら新年会やらでお金が必要となり、ヤフオクでいろいろなものを売った。

一眼レフカメラや映像編集ソフトなど。

しかし、小金が入ったために気が大きくなりすべて使ってしまい、また金欠となりヤフオクに再度出品する予定となった。

売るつもりではなかった全集などの本を売ることに決めて、最初の白羽の矢を立てたのが『バートン版 千夜一夜物語(全11巻)』。

以前、ヤフオクで父の遺した10,000円以上で売れるはずだった本を1,000円で出品し、そのまま1,000円で落札され、落札者から「こんな価格ですいません」と言われた苦い記憶がある。

ヤフオクは通常、想定落札額よりも低い額で出品をするが、本を売る場合はちょっと違って想定の落札額で出さなくてはならないという事を苦い経験から学んだのでまず今回は9,800円ほどで出品したのだが、まったく落札されない。

本以外のマンガやらカメラやらはすぐに売れたのに、普通の本をヤフオクで売るのは難易度が高いのか。何度か値を下げているのだが、まだまだ落札されず、なんとも残念な気持ちになっている。

今の会社には大学生気分の抜けないTシャツ主体の恰好で行っているのだが、新しい会社はもう少しキレイな服を着ていかないとまずそう。

だから、新しい会社に着ていく服などを買いたいのだが、それも買えるかまだわからないのだ。

果たしてヤフオクで本は売れるのか?

ひどく落ち着く、軟着陸みたいな 『新版 貧困旅行記』

つげ義春 『新版 貧困旅行記』

  • 書名:『新版 貧困旅行記』
  • 著者:つげ義春
  • ISBN:978-4101328126
  • 刊行日:1995/3/29
  • 価格:590円(税別)
  • 発行:新潮文庫
  • ページ数:281
  • 形態:文庫

確か、大学時代に学校の生協で買って、それ以来数年に一度は読んでいる一冊だ。

蒸発をして九州の看護婦に会いに行く話から始まり、家族3人での旅行の話などが綴られていく。

つげ義春は漫画家であるが、この人の面白いところは漫画からでも文章からでも、そこから感じる印象がほとんど変わらないということである。

最初に読んだ時に文章がうまいなぁと思って、漫画はどんなの描くのだろうと興味を持ち漫画を読んだのだが、なんだろう、独特の間合いというかなんというかその、あれ俺は文章読んでいたのか、いや違う漫画だったかと気づくのだ。

私の好きなつげ義春の作品は家族が出てくるものである、若き日の妻とのお話の『日の戯れ』、『退屈な部屋』などは毎回読むたびにいいなぁと思う。

一人息子が出てくる『散歩の日々』、『無能の人』などは私がひとりっ子の三人家族だったせいか、読むと少年時代を思い出す。

私はつげの一人息子の正助に自分を投影するのだ。

この貧困旅行記にも家族の旅が出てくるが、これ、読むたびに私の子供時代の家族三人での旅行を思い出し、わが父(つげ)はこんなことを考えていたのかななどと思うのである。

今は、我が家も三人家族となり、私の視点は息子(正助)のモノから父(つげ)側のモノに移りつつあり、まあなんというか『無能の人』には憧れるけど、ああはならないようにと転職活動頑張ろうと決意を新たにするのである。

さ迷える34歳-転職大変記

ジャック・フィニィ 『盗まれた街』

  • 書名:『盗まれた街』
  • 著者:ジャック・フィニィ
  • ASIN:B000J8IBXQ
  • 刊行日:1979/3
  • 価格:340円(税別)
  • 発行:ハヤカワ文庫SF
  • ページ数:300
  • 形態:文庫

数年前までは、古本や図書館の本などは知らない人が読んだものなので汚いと思って敬遠していたが、ブックオフの100円コーナーで安さに釣られて本を買うようになってからは気にならなくなった。

だから最近は人から本をもらうことも多い。

君が捨てるなら、僕がもらうよということだ。

この本は、私によく本をくれる大学時代からの友人からもらった。

これは本当にあった話です、というような書き出しから始まる本書は、宇宙人が知らない間に愛する家族になりかわってしまう恐怖を描いたものである。

この物語が世に出たのは60年ほど前で、その当時の人たちにとっては家族が宇宙人になるというのはリアルで結構怖かったのだろうか。

私の会社は今にも潰れそうなので優秀な宇宙人が社長になり代わって危機を救ってくれないだろうかと強く思った、って社長も私に対して同じこと思ってるか。

転職活動はやや停滞気味で12月中に次の仕事が決まる気がしない。

来週に面接があるのだが、なんというかそこに受かってもそこに行くような気がしない、というか転職するという気が少しずつ小さくなっているような気もする。

多分それは、会社が潰れそうながらも私が新しい業務に慣れ始めたのとも無縁ではない。

今までやっていなかったサポート業務や出荷業務に慣れてきて、今までやってきたデザインの業務が今は少ない。

デザイン業務は時間が読めないのだが、サポートや出荷業務にかかる時間というのは毎日ほとんど同じだ。

だから、今では午後7時台に会社を出ることができ、家に帰ると息子が起きていて少し遊べることもあるのだ。

数か月前には考えられなかったことだ。

給料も下がっているし潰れそうなので会社に不満がないというわけではないが、不満が少しなくなり転職へのモチベーションが下がっている状態なのだ。

あんなに辞めたかったのに、どうもよくわからないものだ。

まあ12月というのはセカセカと時間が過ぎ、深く自問自答するような時間もあまりないのでそうなっているだけかもしれない、1月になったらまた転職したい気持ちが膨れ上がってくるのだろう。

義父さん書店 『騎手の一分』

藤田伸二 『騎手の一分』

  • 書名:『騎手の一分』
  • 著者:藤田伸二
  • ISBN: 978-4062882101
  • 刊行日:2013/5/17
  • 価格:740円(税別)
  • 発行:講談社現代新書
  • ページ数:176
  • 形態:新書

妻となる女性の両親にあいさつに行ったのが今から3年前、それから数か月後に私はその女性と結婚し、その女性の両親は私の義理の両親となった。

義理の母とは会話をするが、義理の父との会話はおそらくこの3年で通算10分も行なっていないのではないだろうか。

お互い何を言っていいのかわからない、というかお義父さん側がどう感じているかはわからないが、私は何を喋っていいのかよくわからない。合わないとか嫌いとかいうわけではないのだが、それがいわゆる、義理の息子とお義父さんの関係というものなのだろうか。

たぶん、そこらへんの道端で出会った2人であれば、会話はもっと弾んだかもしれないが、妻または娘という女性を介しての関係はなんつーか複雑なのである。

そんなギコチない2人であるが、競馬が好きなことと読書が好きという共通点がある。

ギコチない2人ながらも、私が土曜か日曜の午後に妻の実家に行くとほぼ必ず競馬中継が流れていて、姪っ子と遊んだり、お義母さんと話したりしている時でもレースの映像だけは目で追っている男2人なのである。

ゴールするとお義父さんが、私に気を遣ってなのかレースの短評などを言い、私も今の追い込み凄いですねみたいなことを返すのである。

ある日家に帰ると玄関に紙袋が置かれ、その中に文庫本がたくさん入っていた。

妻に聞くとお義父さんが古本屋に売るところを妻が私のために持ってきたようだ、ありがとう妻。

欲しいのだけ抜いたら実家に持って行ってあげて、と言われてすぐさま紙袋を開けた。

私は週に1回程度、会社の帰りにつつじヶ丘駅前の新刊書店書原に入り何かよさそうな本がないか文庫コーナーを物色するのだが、最近はお金がないため、新刊書店でチェックしてからブックオフで探したり図書館で探したりするので、欲しい新刊本はなかなか手に入らない。

でもお義父さんの捨てる予定だった文庫本たちは、私が欲しいと思っていた新刊書店の文庫本の半分くらいは網羅しているのではないかというくらいの充実ぶり。

宮本輝の流転の海の最新作の第6部をどうやって手に入れようか考えていたが、なんとその第6部が目の前に。

ああうれしい。

ありがとうお義父さん。

そんな中にあったのが本書である。

フサイチコンコルドでダービージョッキーとなった藤田のJRAに物申すというのが本書の主な内容である。

数年前までは中央競馬の出馬表に藤田の名をよく見かけたが最近では見かけなくなっていて、どうしたのかなと思っていたのだが、何やら騎手に嫌気がさして開店休業中のような状態らしい。

藤田伸二は田舎のヤンキーのあんちゃんみたいで、ジョッキーというのは押しなべてそういう面構えの人が多く、ケンカには絶対負けないかんな!という気合いの入った顔が私はキライではない。

実際馬の背中に命を賭けて乗って仕事をしている人たちなので、そういう面構えになるのだろう。

そんな愛すべきヤンキーあんちゃんが騎手という職業に嫌気がさしているのは寂しい限りだが、これがシービスケットみたいなクセのある名馬と出会い再生するみたいな話の小説が読みたい。

クライマックスは藤田伸二がなんらかの理由によりシービスケットみたいな名馬の命を救うためにアドマイヤのオーナーに頭を下げに行く場面にしたらどうか。

私のお義父さんもそんな競馬小説なら喜んで読むはずだ。

転職決まらず貧する私 『身体のいいなり』

karadanoiinari

  • 書名:『身体のいいなり』
  • 著者:内澤旬子
  • ISBN:978-4022617767
  • 刊行日:2013/8/7
  • 価格:580円(税別)
  • 発行:朝日文庫
  • ページ数:254
  • 形態:文庫

乳がんが見つかり、乳房の摘出手術をするまでの色々なゴタゴタと思いが綴られたのが本書。『世界屠畜紀行』では家畜の解体現場を見ても特にショックを受けなかった著者も、自分の体にメスが入るのには抵抗があるようで、全身麻酔をしての手術場面を読んでいて私も金玉およびお尻のあたりがむずがゆくというかヒョエーとなった。

病気と闘うにはお金が必要ということがヒシヒシと感じられ、現在の私が大きな病気になってしまったら私および家族はどうすればいいのだろうかと、しばし呆然とした。

今年の春に給料が下がり、それに伴ってお小遣いが下がり、そんなんではやっていけないと夏にビデオカメラを売ったお金を日々のお小遣いの足しにしてきたのだが、12月で遂になくなりそうである。

12月には忘年会が2つ、イベントごとが少し、それで破綻してしまう。

今年の夏の時点では12月には次の仕事が決まっていて給料も元の額に戻っているというもくろみだったが、いまだに新しい仕事は決まらず。

先週末は1か月ぶりに仕事の面接に行ってきた、結果はまだ来ていないが断ろうと思っている。

残業時間が今とあまり変わらないのと、給料も下がりそうな点、そして社長と合わなさそうというのが一番大きな理由だ。

週末に家族で近くの街に買い物に行ってきたのだが、私のサイフには2,000円ちょっとしか入っていなかった。

街まで歩いている時に、

「来月はクリスマスだから息子と姪っ子にクリスマスプレゼントを買ってやるんだ!」

と妻に宣言した。

すると

「じゃあ息子には私が何か買ってあげるから、あんたは姪っ子に買ってあげて、2,000円の可愛いあったかいコートがあったからそれね」

と返された。

私は来月のクリスマスまでに、私の残り少ないガラクタのような資産(本とか・・・)を売り払ってお金を作ろうと思っていたので、いまいきなりの2,000円はきつい。

でも、払えると言った手前、「今出せない」とも言えず、買い物先の洋服屋さん(しまむら)でサイフをから2,000円を出したのである。

その後、お昼を食べようとなりショッピングセンター内にある「はなまるうどん」に並んだのだが、私のオサイフにはもう支払い能力がなく、妻にお金を払ってもらい家族で1杯のきつねうどんを食べたのである。

さらに、同じ週末。

家族3人で私の実家に行った。

11月の終わりは私の誕生日であるので、母親からプレゼントをもらえるのでは?と期待したがそんなものはなかった。

息子や姪っ子へのプレゼント代にひいこら言っている身なので、母親から何かもらえれば(特にお金を希望)すごく助かると愚かな息子は思ったのである。

しかし、そもそも息子や姪っ子へのプレゼントによって減ったお金を自分の親からの援助で何とかしようと思っていること自体虫が良すぎるのであり、そうは問屋が卸さないのである。

まあしかし、プレゼント問題はなんとかうやむやになったが、問題は12月の忘年会であり、どうしようか。

私の本を売ったところでホントウに二束三文であり、本当に困った。

日本国民のみならず、世界の人民達の所持金および貯金額が100円程度にならないかと切に願う毎日なのである。

そうすれば1万円持っているだけで大金持ちになるという素晴らしいアイディア。

早くいい仕事見つけろよ。

逃げ出したい気持ち 『監獄ラッパー』

監獄ラッパー B.I.G.JOE

  • 書名:『監獄ラッパー』
  • 著者:B.I.G. JOE
  • ISBN:978-4101260815
  • 刊行日:2014/8/1
  • 価格:520円(税別)
  • 発行:新潮文庫
  • ページ数:270
  • 形態:文庫

オーストラリアに薬物を密輸したことで逮捕された日本人ラッパーの獄中記が本書。

異国の地の刑務所での日々がつづられている。

獄中記を読むと、刑務所の中と比べてシャバにいる今の自分の境遇がいかに恵まれているかということに気づき、ガンバらなきゃいかん!と思うのだが、今回はそうはいかなかった。

潰れそうな会社で、めげてしまいそうな気持ちをエンヤコラと必死で正常に保とうとしつつ転職活動をしている私から見ると、刑務所でのシンプル?に見える生活がうらやましかった。

刑務所の中が私の今いる環境よりいいわけはないのだが、なんというか、うーん。

会社を建て直すというような気概もなく、ダラダラとやる気のない状態で今の会社に勤め続けているという状況が私の精神に打撃を与え続けている。

早く転職したい、でも今より給料がいいところを見つけられない。

このまま転職できずに会社が潰れて・・・

会社から逃げ出したいという気持ちを押し殺しつつ無理している私が、刑期を終わらせて日本に帰ろうという強い意志を持っている筆者を見るととにかくまぶしいんだ。

米粒の悩み 『ご先祖様はどちらさま』

ご先祖様はどちら様 高橋秀実

  • 書名:『ご先祖様はどちらさま』
  • 著者:高橋秀実
  • ISBN:978-4101335568
  • 刊行日:2014/9/1
  • 価格:520円(税別)
  • 発行:新潮文庫
  • ページ数:274
  • 形態:文庫

現在も私の転職活動は絶賛進行中である。

10日ほど前に同僚がリストラされ辞めていった。

彼の業務がすべて私の業務となった。

その同僚がいる時は仕事をサボって面接に行ったりもできたのだが、細切れの、でもやらなくてはならない電話対応やら発送業務やらサポート業務が回ってきて大変である。

モチベーションもあがるはずもなく、どんよりとした気分で日々過ごしている。

会社は今年いっぱいは給料が出るようだが、来年はよくわからない。

わが社のお金の流れの話を聞くたびに、これではダメだろうという思いが強くなっている。

昼休みになると弁当を自分の席で素早く食べて、会社のイヤな雰囲気から一刻も早く抜け出し、近所の神社の境内に座り、スマホで転職サイトの情報を指でクイックイッとしている。

まだ会社にその同僚がいる時にプログラマの面接に行った。

しかし、給料面で折り合わず破談となった。

ネックはとにかく給料面である。

結婚していて子供がいて、現状で妻が専業主婦となると、給料の額は今より落とせない。

現状で私の自由になる1か月のお小遣いはちょうど1万円なのだが、1万円月給が下がると、私のお小遣いはゼロとなる。

家族貯金などを削ればいいと思うのだが、なんつーか、それは言えない。

意地なのかなんなのか。

高橋秀実は毎回面白いテーマで文章を書いているが、本書は自分の先祖に興味を持ち、そのルーツをなんとかたどってみたら高貴な血筋にたどりついた、というお話である。

自分の両親は2人、祖父母は4人、その前の世代は8人、16人と4世代辿っただけでご先祖は倍々に増えていき、30世代遡ると1,073,741,824人(10億人!)となる。

さらに、これは30世代目だけの数だから、1から29世代目を含めるともっと多い。

だから自分のご先祖になんらかの高貴な血が入っているのは当たり前なのである。

それだけのご先祖様がいることを考えると転職して給料が下がるかもみたいな話は米粒みたいなもんなのであり、転職などどうでもいいし、1万円給料が下がっても別に誰も悲しまないし、そんなの気にするなみたいな気持ちになるが、やはり私自身は十億とか何百億という数のうちの一つの米粒であり、米粒は米粒なりの悩みがあるから、さあ大変だ。